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「Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977」は、祭りの喧騒

フリージャズの指導的存在で「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」の提唱者、「オーネット・コールマン(Ornette Coleman)」。

Ornette Coleman - Dancing In Your Head (1977)

1976年に録音した「ダンシング・イン・ユア・ヘッド(Dancing In Your Head)」は、お祭り騒ぎ的な「Theme From A Symphony」の2バージョンと、1973年にモロッコで現地のミュージシャンの演奏に合わせ録音した「Midnight Sunrise」が収録されております。

さて、2つのバージョンが収録される「Theme From A Symphony」。

ファンク&ロックのビート、2ギター奏でるカラフルなサウンドをバックに、オーネットがスカっと気持ちよく吹きまくっております(最後まで)。

明るく異国情緒漂う音の羅列と、「祭りの喧騒」にも似たリズムが交じり合い、祝祭的な雰囲気を醸し出していきます。

この猥雑極まりない音楽はCDより、プチプチノイズ入りのアナログレコードで聴くべきだと思います。

しかし、テナーのようなぶっとい音でオーネット奏でるソロのポップさ加減は凄まじいの一言。

初期のナイフのように尖った演奏から想像出来ないほどの、変貌具合かなと。

最後に登場するのがモロッコで録音された「Midnight Sunrise」。

バグパイプのような響きと、和太鼓奏でる如き単調なリズムに乗せ、オーネットが即興演奏を繰り広げるもの。


Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977
A&M/Horizon SP-722 / Universal Music UCCU-6118 [2011.07.20]

Ornette Coleman (as) Charles Ellerbee(g) Bern Nix (g) Rudy MacDaniel (b) Ronald Shannon Jackson (ds)
December, 1976 at Barclay Studios, Paris, France.

01. Theme From A Symphony (variation 1) 15:37

02. Theme From A Symphony (variation 2) 11:06

Robert Palmer (cl, wood-fl) Ornette Coleman (as, tp, electric violin)
The Master Musicians Of Jajouka (pipes, fl, three lutanists, violin, ds)
January, 1973 in Jajouka, Morocco.

03. Midnight Sunrise 4:36


この時代のオーネット・コールマンは、「フリー・ジャズ(Free Jazz)」と呼ばれる演奏スタイルに、理論武装を施すため、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」なる、未だ定義があいまいな「演奏理論」を口にするようになります。

で、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」てなんじゃい?という事で、いろいろと他サイトを調べてみましたが、霞を掴むが如く(笑)。

オーネットの下に集まって、自由奔放に音を出した結果生まれる「演奏」を「ハーモロディクス(Harmolodics)」と呼んでいるようです。

これはオーネットの「理論」というより、「ハーモロディクス現象」とか「ハーモロディクス効果」と呼んだほうが、しっくり行くのではないかと思いますが、如何なもんでしょ?

「Ornette Coleman – Free Jazz +1 [Atlantic] 1960」は難解じゃなかった

「オーネット・コールマン(Ornette Coleman)」の作品群を聞く際、どうしても「フリージャズ=訳分かんない」という先入観念から、なかなか「気軽に聴く気になれない」んですが・・・。

Ornette Coleman - Free Jazz +1 [Atlantic LP 1364] (1960)

覚悟を決めて(笑)聴いて見ると、案外ふつーに聴けたのがこの、1960年に録音された「Free Jazz (Atlantic LP 1364)」。

クラッシック(現代音楽)から、フリージャズに入った方がより、理解し易いみたいですが、残念ながら私は、現代音楽には興味がなくて、詳細語れません、あしからず(笑)。

コード進行やテーマの小節数、リズムパターンなどを廃し、滅茶苦茶やってるだけ(笑)かと思えば、ベースのスコット・ラファロなど、クラッシックの素養があるミュージシャンが、荒れ狂う音の洪水を、ギリギリの処で、「音楽の枠内」に踏みとどめているような感じ。

溢れる音の洪水に呑まれぬよう、各人が「尖がった音の塊」を投げつけていく、といった風にも思えます。

なお後にオーネット・コールマンは、この演奏方法を「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」と名付け、
「俺達は無茶苦茶やってるじゃないもん!法則性に基づいてやってるんだ!」
と、開き直りますが、パ●ト・メ●ニーら勘違い(と言われている)組を含め、理解出来るものはごく少数だった模様(笑)。

さてこのアルバム、「Free Jazz – A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet」とジャケットに記載されてますように、左右のチャンネルに別々のカルテットを配し、コードや小節数の制約がない状態で延々(約37分)、即興演奏を繰り広げます。

この録音に関しては、あらかじめ決められていたのは、「ソロの順番」と「演奏時間」だった模様。

レコード時代には、AB両面で1曲という凄い事になってたようで。

CD時代に1曲につながった演奏を聴く事が出来るようになりましたが、これはこれで、別の問題が発生してたりします。

つまり、人間の集中力の持続時間という問題がありまして、これが約45分(15分×3回)。

良い音で聴けるLPレコードの収録時間が約20分という話もありますが、人が「集中して聴ける持続時間」という点でも、合致してる訳でありますね。

さて、アルバム「Free Jazz +1 [Atlantic] 」の話に戻ります。

派手なテーマらしきものが演奏された後、いきなりドロフィーのソロが始まります。
なお、各人のソロが終る頃、合奏(テーマ)らしきものが挟まれます。

ソロの間、他の奏者がナニをしてるかというと、適度に合いの手を入れてる感じ。

演奏はまず「エリック・ドルフィー(bass-cl)」が約5分ほど演奏し、次に「フレディ・ハバード(tp)」 が約5分ほど演奏。

次に「オーネット・コールマン(as) の演奏が10分弱ほど続き、LPレコード時代には、ここでA面(Part 1)終りとなる模様。

ここまで息つく暇もないまま、経過時間約20分(笑)。

LPレコード時代のB面(Part 2)、まずは「ドン・チェリー(pocket-tp)」の演奏が約5分。

フロント陣が終るとリズム隊でまず、ベースの「チャーリー・ヘイデン(b)」のソロが約4分 で、「スコット・ラファロ(b)」 ソロが約4分。

最後にドラムの「エド・ブラックウェル(ds)」が約1分、「ビリー・ヒギンズ(ds) 」が約1分ソロを演奏。

CD時代に追加された「The First Take」という曲は「Free Jazz (alternate take)」であり、リハーサル的に約17分というコンパクトな時間で、「Free Jazz」が演奏されております。


なおジャケットの窓から見える絵画は、抽象表現主義の代表的な画家・ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)の「ホワイト・ライト(White Light) (1954)」という作品。

この作品は現在、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されているそうです。


Ornette Coleman – Free Jazz +1 [Atlantic LP 1364] (1960)

01. Free Jazz (Ornette Coleman) 37:03

[CD bonus track]
02. The First Take [Free Jazz (alternate take)] (Ornette Coleman) 17:00

A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet

Ornette Coleman (as) Don Cherry (pocket-tp)
Scott LaFaro (b) Billy Higgins (ds) [left channel]

Eric Dolphy (bass-cl) Freddie Hubbard (tp)
Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds) [right channel]

December 21, 1960 at A&R Studios in NYC.

Supervised by Nesuhi Ertegun
Painting – Jackson Pollock
Album Design – Loring Eutemey
Recording Engineer – Tom Dowd