チャールス・ミンガス「直立猿人(Pithecanthropus erectus)」


今朝の会話の中で、とある曲についての話が出てきたので、解説文もどきをこちらにまとめてみました。

Charles Mingus - Pithecanthropus erectus(直立猿人)

チャールス・ミンガス率いるジャズ・ワークショップが演奏する「Pithecanthropus erectus(直立猿人)」。

チャールス・ミンガスが夢にみた、初めて2足歩行した猿人(ピテカントロプス)の「進化~優越~衰退~滅亡」という過程を、組曲風に1曲にまとめたという風変わりな曲。

前衛的というか、変わってるというか。

まあ、「アメーバ」を題材にした曲作ってた人も居るので、ジャズ界には変人が多いのかもしれませんが。

ジャッキー・マクリーンのフリーキーなトーンは、実は1956年でも披露されていた、という事実に呆然としてしまう訳でございますな。

ユニークな奏法で私も大好きな、相方J.R. モンテローズの怪演も聴き処。

Charles Mingus – Pithecanthropus erectus(直立猿人)
Atlantic LP 1237

Jackie McLean (as) J.R. Monterose (ts)
Mal Waldron (p) Charles Mingus (b) Willie Jones (ds)
Audio-Video Studios, NYC, January 30, 1956

Pithecanthropus Erectus: Evolution / Superiority-Complex / Decline / Destruction



ちなみに前述の、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の「Amoeba’s Dance」という曲はこんな感じです。
変わったもの大好きな、アルフレッド・ライオンのブルーノートから発売された10インチアルバムから。


ヨレ気味だからこそ聴きやすい遺作「John Coltrane – Expression (1967)」


肝臓癌由来の痛みをこらえつつ演奏を録音し、発売の手配を続けた「Expression」は、ヨレ気味な演奏ゆえ、過激な部分がナリを潜め、聴きやすくなったのは皮肉な話ですな。

ラヴィ・シャンカールが説く「静寂」と「安らぎ」が具現化したようなアルバムです。

John Coltrane - Expression

<突然の容態悪化、そして昇天>

1967年7月15日(土)まで、妻や親族、音楽仲間にさえ容態の悪化を覚られないまま、具合の悪い状態でコルトレーンは活動を続けていたそうです。

自宅の地下室のスタジオを作り、最新録音機材まで揃え、何故、何事もないように活動を継続するそぶりを見せていたのか・・・。

前兆として、1967年 5月に内臓の激痛により倒れていたそうですが・・・。

そして、コルトレーン生涯最後、日曜日の朝を迎えます。

1967年7月16日(日)、日曜日の朝。食事が取れないほど衰弱したため、ハンティントン病院に救急患者として入院。

そして翌日7月17日(月)午前4時、肝臓癌により昇天(死去)。

音楽仲間、そして公民権運動のシンボルとして見ていたアフリカ系アメリカ人達に、突然の喪失感と、衝撃が走ります・・・。

<遺作「Expression (impulse! A-9120)」>

今回ご紹介する「Expression」は、1967年冬から春にかけて録音された作品。
ジョン・コルトレーンのスタジオ録音・最終作(遺作)であり、「平和と愛」を探求するかの如く、スピリチュアルな演奏であります。

タイトルの「Expression」は、日本語では
「(気持ち・性格などの)表われ、しるし」という意味だそうで。

ここ最近のブログ記事で延々書いている通り、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が残した作品群のうち、最晩年にあたる1965年から1967年の録音は、公民権運動の高まりと呼応して、激流の如く変化していきました。

モード奏法の追求から、公民権運動と連動した激情的フリー的演奏、そして、ラヴィ・シャンカールを師と仰ぎ「平和と愛」を探求するスピリチュアルな演奏へ。

さて、「Expression」の収録曲をざっと紹介致します。

1曲目「Ogunde」は、短い幻想的なバラッド。

2曲目「To Be」も幻想的で浮遊感溢れる曲。
コルトレーンのフルートと、ファラオ・サンダースのピッコロが絡んだ後、ピアノソロの後ろで、誰が叩いてるかわからない鈴やボンゴが鳴り響きます。
コルトレーンはフルートの音に声を混ぜ、フルートソロを展開してますね。

3曲目「Offering」は、ややアグレッシブな演奏。
イントロは「A Love Supreme, Pt. 1: Acknowledgement」の変形パターンか。
病魔に冒されたコルトレーンが最後の気力を振り絞り、弱弱しく、テナーを吹こうとしてる様子がありありと思い浮かべられます。

4曲目「Expression」は、自らの昇天を予感しているかのような、清々しい演奏。
延々、激烈な演奏を聴いた耳には、かなりよれよれで弱ってる感じが痛々しいですね。
コルトレーンに続くアリスとサンダースがその分、頑張ってますが・・・。

John Coltrane – Expression (1967)
impulse! A-9120

01. Ogunde (John Coltrane) 3:32
02. To Be (John Coltrane) 16:29

03. Offering (John Coltrane) 8:31
04. Expression (John Coltrane) 10:56

1, 4 –
John Coltrane (ts) Alice Coltrane (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds)
March 7 & spring 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

2, 3 –
John Coltrane (fl,ts) Pharoah Sanders (piccolo) Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds)
February 15, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

このアルバムでは、珍しくフルートを吹いてますが、これ、1964年にヨーロッパで客死した、盟友・エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)の遺族から譲渡された遺品だそうです。

<「Expression」に至る過程(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。
◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。
◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

☆1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」録音。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

コルトレーン御一行・日本滞在記「Live In Japan(1966)」


1966年7月。

衝撃的なビートルズ初来日直後、コルトレーン御一行が日本の地に降り立ちます。
過密スケジュール中、長崎平和公園を訪れていることからも推測出来ますが、新曲「Peace On Earth(地球の平和)」を、広島と長崎に捧げるために、遠路はるばる日本を訪れたのかもしれません。

John Coltrane Live in Japan

また、1963年7月に庇護者・ニカ男爵夫人と共に来日したセロニアス・モンクや、

1963年9月に来日した大親友・ソニー・ロリンズが語る「日本への好印象」も、コルトレーンが訪日にかける意気込みに、大きく左右したはず。

「コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書) : 藤岡 靖洋」などを参考にしつつ、来日時の足取りを辿ってみましょう。

今予定を眺めると、強行スケジュールどころか「狂気の沙汰」でありますな・・・。
ふつーの人間なら、途中で確実にぶっ倒れてますよ・・・これは。

コルトレーンご一行日本滞在:1966年7月08日(金)-7月25日(月)

<8都市15公演、日本のジャズメン達との共演セッション2回>

1966年7月08日(金)、羽田国際空港着~東京プリンスホテル宿泊。
1966年7月09日(土)、記者会見(東京プリンスホテル)、学生達による質疑応答、TBSインタビュー

1966年7月10日(日)、サンケイホール(東京都)
1966年7月11日(月)、サンケイホール(東京都)☆
1966年7月12日(火)、フェスティバルホール(大阪府)
1966年7月13日(水)、広島公会堂(広島県)
1966年7月14日(木)、長崎公会堂(長崎県)
1966年7月15日(金)、長崎平和公園で合掌、福岡市民会館(福岡県)
1966年7月16日(土)、京都会館第二ホール(京都府)、松竹座(大阪府)

1966年7月17日(日)、神戸国際会館ホール(兵庫県)△
1966年7月18日(月)、新宿厚生年金会館(東京都)
1966年7月19日(火)、新宿厚生年金会館(東京都)
1966年7月20日(水)、フェスティバルホール(大阪府)
1966年7月21日(木)、静岡市公会堂(静岡県)
1966年7月22日(金)、新宿厚生年金会館(東京都)☆、東京ビデオホール[交流ジャムセッション]
1966年7月23日(土)、愛知文化講堂(愛知県名古屋市)

1966年7月24日(日)、東京ビデオホール[交流ジャムセッション]
1966年7月25日(月)、羽田国際空港より帰国。

☆「Live In Japan」に収録されたコンサート
△プライベートテープが存在

2日に渡る日本人ジャズミュージシャンとの「交流ジャムセッション」には、ジョージ川口さん、松本英彦さんらが参加。

22日(金)は「バードランドの子守唄(Lullaby Of Birdland)」、「Softly, As In A Morning Sunrise」など4曲。
24日(日)は「Now’s The Time」、「There Will Never Be Another You」など3曲を演奏したそうな。

日野皓正さんも会場に居たようですが、セッションに参加してたかは不明。

ディスコグラフィー上では「rejected」と記載された「プライベート録音」が、
現存してたら凄い事になる訳ですが・・・さて。

さて、強行スケジュールで日本全国を駆け回ったうち、東京での公演を収録した「Live In Japan」。

「Afro Blue」、「My Favorite Things」、「Crescent」というお馴染みな曲に加え、2つ新曲の「Leo」、「Peace On Earth(地球の平和)」の、長尺演奏を聴く事が出来ます。
静(コルトレーン)と動(サンダース)の対比が、より荒々しく感じられますが、この殺人的な演奏スケジュールでは、仕方ない事かな・・・と。

ジャズ評論家・岩波洋三氏の感想によると、コルトレーンは演奏のクライマックスで、よだれを垂らしながら演奏していたそうで・・・。

岩波氏は続けて「それは、性行為のクライマックスを思わせる」とも書き記しています。
自己完全燃焼するその姿を評して、「爽やかの無くなった演奏」とも。

ディスコグラフィーを眺めると、東京での正規録音の他、7月17日(日)「神戸国際会館ホール」の演奏がプライベートテープで存在する模様。

John Coltrane – Live In Japan
Impulse!/GRP 41022

John Coltrane (ss, as, ts, per) Pharoah Sanders (as, ts, bass-cl, per) Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Hisato Aikura (announce)

Disc 1 & 2: July 11, 1966 at “Sankei Hall”, Tokyo, Japan.
Disc 3 & 4: July 22, 1966 at “Shinjuku Koseinenkin Kaikan”, Tokyo, Japan.

<July 11, 1966 at “Sankei Hall”, Tokyo, Japan. >

Live In Japan [Disc 1] July 11, 1966

 01. Afro Blue (Mongo Santamaria) 38:48
 02. Peace On Earth (John Coltrane) 26:24

Live In Japan [Disc 2] July 11, 1966

 01. Crescent (John Coltrane) 54:34

<July 22, 1966 at “Shinjuku Koseinenkin Kaikan”, Tokyo, Japan. >

Live In Japan [Disc 3] July 22, 1966

 01. Peace On Earth (John Coltrane) 25:06
 02. Leo (John Coltrane) 44:50

Live In Japan [Disc 4] July 22, 1966

 01. My Favorite Things (Richard Rodgers & Oscar Hammerstein II) 57:19

日本の7月、梅雨と真夏の境目の時期に「弾丸ツアー」を行ったコルトレーン一行。

高温多湿の過酷な環境の中、新幹線、飛行機、特急を乗り継いで移動・・・。
コンサートでは、全力で1時間半吹きっぱなしとなれば、体調崩さない方がおかしいと思われます。

実際、コルトレーンはこの来日公演以降、体調を崩してしまったという。
肝臓癌に、過労が追い討ちをかけたともいえますね。

あえて原爆が投下された2都市を廻り、新曲「Peace On Earth(地球の平和)」を演奏したコルトレーン。

「愛と平和」を希求する彼に残された時間は、過酷な日本公演が原因で短くなったようですが、悔いはないでしょうね。

今でもコルトレーンの命日である「7月17日」には、日本全国のジャズ喫茶で、コルトレーンの音楽が流れるほど、日本のジャズファン達に愛され続けておりますから。

<「Coltrane Live In Japan」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。
◎1965年2月18日、「The John Coltrane Quartet Plays」1回目のセッション。
▲1965年2月21日(マルコムX (Malcolm X)暗殺される)

◎1965年5月17日、「The John Coltrane Quartet Plays」2回目のセッション。
◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。
◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

☆1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。
◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

あ、有名な「私は聖者になりたい(笑)」発言について、書くの忘れてた(笑)。

新妻アリスに対し、過去の不逞を「公式謝罪」する意味合い含む発言だったそうです。

パワフルな演奏から推測出来るように、何人かの女性と深い関係があった模様。

公民権運動と「Coltrane Live At The Village Vanguard Again! (1966)」


今回は1966年6月、壮絶なる日本ツアー直前に録音された、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」です。

John Coltrane - Coltrane Live At The Village Vanguard Again!

タイトル的には、1961年11月に録音された、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)入りの「Coltrane “Live” At The Village Vanguard (Impulse! A-10)」再び!という感じですか。

1961年版はドルフィー効果か、あっけらからんとしたアヴァンギャルドな演奏が多いですが、

1966年版は「Live In Japan」同様、絶叫というか振り切れた演奏です。

以下、長くなりますが、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」に至るコルトレーンの音楽的変質の謎が、自分なりに納得出来たので、当時の時代背景含め書いていきます。

「1961年版」と「1966年版」。

5年隔てたライブが、何故こんなに変貌してしまったかの鍵は、当時アメリカの国内情勢を紐解くことで見えてくる気がします。

まずコルトレーンの作品群を眺めていると、1965年2月付近で変質していく事に気がつきます。

「至上の愛(A Love Supreme)」で、神を賛美してたコルトレーンが突然、「Kulu Se Mama」、「Ascension」など、フリーフォームに転進した作品を発表。

アフリカ回帰、インド思想への傾倒を顕著にした、激情的雄叫びを上げ始めるようになります。

アメリカの歴史に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、そうです、黒人公民権運動活動家・「マルコムX (Malcolm X)暗殺」を境に、激変していく訳ですね。

ムスリムの「マルコムX」が暗殺された事により、自ら信じるキリスト教への疑問を感じ始めた?
キリスト教を一旦横に置いて、「愛と平和」を求め、他宗教に目を向け始めたとも言えますか。

さて、1966年5月28日のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブを収録した「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」の収録曲は、たった2曲(笑)、「Naima」と「My Favorite Things」だけ。

1965年末の録音(Meditations)で、宗教臭い演奏に嫌気が差したピアノのマッコイ・タイナーが退団したため、1966年初頭からバンドに参加した、アリス・コルトレーンがピアノを弾いております。

ドラムも、前衛派でサン・ラ(Sun Ra)との共演経験があるラシッド・アリ(Rashied Ali)に代わってますね。

1曲目は、お馴染み「Naima」。

ライブでラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)の教え、「(静寂(シャンティ)」と「安らぎ」が感じられる演奏です。

途中ソロで登場するファラオ・サンダースの咆哮が、全てをぶち壊しますが(笑)。

思索的な静(コルトレーン)と、激情なる動(サンダース)のコントラストが、最晩年でのコルトレーンバンドの、大きな特徴なのかもしれません。

「Live In Japan」の如く静と動のバランスが崩壊すると、聴くにたえない状態になりますが、ここでの演奏は、ぎりぎり均等を保ってる感じかと。

レコード時代にはA面最後になりますが「My Favorite Things」の前に、「Introduction To My Favorite Things」と題されたジミー・ギャリソンのベースソロが、6分ほど収録されてます。

2曲目は、スピリチュアルな演奏に変貌した「My Favorite Things」。ベースソロに続いたコルトレーンがテーマを吹き始める前、ソプラノサックスで、幻想的というか、摩訶不思議なフレーズを紡いでいきます。

悲痛な叫びを上げるサンダースのバックで、コルトレーンが吹く、フルートの音が聴こえます。

このアルバムでコルトレーンは、バスクラリネットも吹いてるみたいですが、どの部分がバスクラリネットなのか未だ判断出来てません(泣)。

ただ、いずれの楽器も1961年版に参加してたエリック・ドルフィーの遺品らしいです。

John Coltrane – Coltrane Live At The Village Vanguard Again! (1966)
Impulse! A-9124

John Coltrane (ss, ts, bass-cl, fl) Pharoah Sanders (ts, fl)
Alice Coltrane (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Emanuel Rahim (per)
May 28, 1966 at “Village Vanguard”, NYC.

01. Naima (John Coltrane) 15:12
02. Introduction To My Favorite Things (Jimmy Garrison) 6:11

03. My Favorite Things (O. Hammerstein II, R. Rodgers) 20:23

<「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。
◎1965年2月18日、「The John Coltrane Quartet Plays」1回目のセッション。

▲1965年2月21日(マルコムX (Malcolm X)暗殺される)

◎1965年5月17日、「The John Coltrane Quartet Plays」2回目のセッション。

◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。
◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

<補足>

マルコムXやキング牧師らが大きな影響を与えた、アフリカ系アメリカ人公民権運動(African-American Civil Rights Movement)は、1950年代から活発化。
1960年代後半には「怒り」のエネルギーとなり、アメリカ全土を覆い尽くしていたようです。

そんな中、1965年2月21日には、黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)が、教団指導者の不逞を理由に脱退した、イスラム教系教団(NOI)の信者達により、銃で撃たれ暗殺されます。

コルトレーンのディスコグラフィを眺めると、分岐点となる2月21日前後に、「The John Coltrane Quartet Plays (Impulse! A-85)」セッションが挟まってます。

6月10日、「Transition」と「Kulu Se Mama」に分散収録されたセッションでは、マルコムX追悼と思われる「組曲」を録音しておりますね。

ちなみに、ネーション・オブ・イスラム教団(NOI)は、黒人の経済的自立を目指す社会運動で、白人社会への同化を拒否し、黒人至上主義を掲げる宗教運動だそうです。

黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)は、ネーション・オブ・イスラム (NOI) のスポークスマンを経て、ムスリム・モスク・インク (Muslim Mosque, Inc.) 及び、アフリカ系アメリカ人統一機構 (Organization of Afro-American Unity) の創立者。

1965年2月21日、裏切り者として暗殺対象とされた、NOIの信者達に銃で暗殺される。

混沌と瞑想の狭間へ「John Coltrane – Meditations (1965)」


60年代後半、黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)暗殺を境に、アフリカ系アメリカ人の暴発寸前の熱い思いと共鳴し、絶叫し続けたコルトレーン。

かつてのボス、マイルス・デイヴィスの言葉から端折って引用すると、「特に若い知識層や革命論者の間では、トレーンが音楽で彼らの気持ちを代弁し、シンボル的存在だった」そうです。

John Coltrane - Meditations (1965)

今回ご紹介する「瞑想(Meditations)」は、そんなコルトレーンが奏でる混沌と瞑想の狭間にある、神秘的というか「静寂と安らぎ」入り混じる、摩訶不思議なセッション。

アフリカ回帰を前面に打ち出した「Kulu Se Mama」から約1ヶ月後の録音ですね。

黄金のカルテットに加え、テナーサックスのファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)、ドラムのラシッド・アリ(Rashied Ali)を加えた編成で演奏されます。

さて。ずらっと並ぶ曲には、宗教色、精神性を前面に打ち出した題名が並んでおります。

1曲目は、「父なる神・御子キリスト・聖霊(The Father And The Son And The Holy Ghost)」と題された曲。

「父」、「息子(イエス・キリスト)」、「聖霊(聖神)」は全て同じであり、一つである、というキリスト教の基本となる教え、三位一体(至聖三者)の事らしいです。

題になぞられ、左右に分かれた2テナーが同時にソロを展開。

そこにリズム隊を加える事で、音楽による「三位一体」を表現したかったのか?

約13分に渡り、聖邪入り混じるかのような、混沌とした音の洪水が続きます。

「Om(阿吽)」を聴いたラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)に、解釈の間違いをたしなめられたコルトレーンですが、師の諭しを忘却したが如く、「Om(阿吽)」路線の過激な演奏を繰り広げます。

2曲目「慈悲(Compassion)」は、サイケデリックな瞑想といった雰囲気の曲。定型ビートで時々、鈴のような音鳴り響く中、マッコイ~コルトレーンとソロが引き継がれます。

3曲目「愛(Love)」は、ベースソロから始まる、穏やかな雰囲気の曲。

4曲目「威厳(Consequences)」は、前曲の静寂をぶち壊すかのように、左右に分かれた2テナーによる絶叫が続きます。

続くマッコイも、穏やかながらも、せわしないピアノソロを展開。

5曲目アルバム最後を飾る「静寂(Serenity)」は、前のピアノソロを引き継いで、コルトレーンの瞑想的ソロが展開されます。

コルトレーンが考えてた「瞑想(Meditations)」とは、どのようなものだったのか。
多分、コルトレーンも他人に説明出来るほど、深く考えていなかったものと推測します(笑)。

とりあえず頭を空っぽにして、混沌と渦巻く音の洪水に、しばし浸かってみるのも一興かと。

John Coltrane – Meditations (1965)
impules! AS-9110

01. The Father And The Son And The Holy Ghost (John Coltrane) 12:49
02. Compassion (John Coltrane) 6:49

03. Love (John Coltrane) 8:08
04. Consequences (John Coltrane) 9:11
05. Serenity (John Coltrane) 3:30

John Coltrane (ts, per) Pharoah Sanders (ts, tambourine, bells)
McCoy Tyner (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Elvin Jones (ds)
November 23, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

<「Meditations」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年6月10&16日(38歳)、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月28日、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

☆1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。
◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

「John Coltrane – Kulu Se Mama (1966)」-静寂と安らぎ-


混沌たる「Ascension(神の国)」及び「Om(阿吽)」の前後に録音されたのが、今回ご紹介する、静寂と安らぎ溢れるアルバム「Kulu Se Mama」です。

John Coltrane - Kulu Se Mama (1966)

アフリカ伝来のサム・ピアノ(親指ピアノ)をつま弾く音を導入したり、「Om(阿吽)」を詠唱したりと、ジャズから逸脱した、混沌極めるアルバム「Om(阿吽)」を録音したコルトレーン(生存時は未発表)。

ライブでラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)に「Om(阿吽)」を披露し、「(静寂(シャンティ)」と「安らぎ」が不足している事をたしなめられたためか、アルバム「Kulu Se Mama」には神秘性というか、「静寂と安らぎ」が加わってるように思えます。

表題曲「Kulu Se Mama」は、パーカッションとボーカルで参加するジュノ・ルイスの作品。

母に捧げた賛歌なんだそうですが、「アフリカ回帰」を目指した曲調で、ゆるめなパーカッションの音色とアフリカの現地語の歌がブレンドされた、「土の香り漂う」ような、穏やかなる曲です。

蛇足ですがこの曲、アート・ブレイキーがブルーノートに録音した、
「Art Blakey – Orgy in Rhythm (Blue Note)1957」、

「Art Blakey – Holiday for Skins (Blue Note)1958」、

「Art Blakey – The African Beat (Blue Note)1962」と続く、

アフリカ回帰的なドラムアンサンブルの作品群に、傾向が近い感じがします。

続く2曲目「Vigil」は、テナーサックスのコルトレーンと、ドラムスのエルヴィンによるデュオ。
9分半にも渡り、2人だけの丁々発止なやりとりが続きます。

3曲目「Welcome」は、穏やかなるバラッド風な演奏。これこそ「静寂と安らぎ」ですね。

1975年にマイケル・カスクーナ(Michael Coscuna)が編纂したコンピレーションアルバム「The Gentle Side Of John Coltrane」にも収録されてます。

John Coltrane – Kulu Se Mama (1965)
impulse! A-9106

01. Kulu Se Mama (Juno Se Mama) (Julian Lewis) 18:50
02. Vigil (John Coltrane) 9:51
03. Welcome (John Coltrane) 5:34

03. Welcome –
John Coltrane(ts) McCoy Tyner(p) Jimmy Garrison(b) Elvin Jones(ds)
June 10, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

02. Vigil –
John Coltrane(ss, ts) Elvin Jones(ds)
June 16, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ,

01. Kulu Se Mama (Juno Se Mama) –
John Coltrane(ts) Pharoah Sanders(ts) McCoy Tyner(p)
Jimmy Garrison(b) Donald Garrett(b, bass-cl) Frank Butler(ds) Elvin Jones(ds)
Juno Lewis (vo, per)
Western Recorders, Los Angeles, CA, October 14, 1965

<「Kulu Se Mama」録音の頃(抜粋)>

☆1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年6月10&16日(38歳)、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月28日、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。

☆1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

「John Coltrane – Ascension (1965 Impulse!)」は果たして問題作なのか?


今まで怖くて聴かなかった、フリージャズやってた頃の(後期)コルトレーンを最近、まとめて聴いておりました。

各種文献・資料を漁り、世界的ジョン・コルトレーン研究家・藤岡靖洋さんの書くライナーノートに目を通し、時代背景とコルトレーンの私生活を理解する事で、ようやく、過激な演奏に突っ走ったのか理解出来るようになってきました。

「怒る」初期から、「叫ぶ」晩年へ。

「叫ぶ」ような、強烈なるビブラートを掛けた晩年の演奏は、「アフリカ回帰」とか、「Love and Peace」などというお題目の影で、迫り来る死への恐怖と、癌に蝕まれた体の痛みをこらえながら演奏してた、と仮定すると、妙に合点が行く気がします。

さて、母方の祖父が牧師という環境に育ったジョン・コルトレーン(John Coltrane)は、1960年代後半に、神に捧げた組曲「至上の愛(A Love Supreme)」という大傑作を録音します。

その半年後、以前から興味を示してた「フリージャズ」に手を染めます。

この時代は、アフリカ系アメリカ人達が、奴隷時代から続く人種差別に対し、猛然と抗議の声を上げ始めた時代でもありますね。

John Coltrane - Ascension (1965)

ジョン・コルトレーンがフリージャズを演奏した最初のアルバムだと認識されるのが、1965年6月に録音した「Ascension(邦題:神の園)」です。

そのまま和訳すると「上昇、キリストの昇天」という意味だそうで、「至上の愛」に続き、キリスト教をイメージさせるタイトルですね。

発表当時、日本のジャズ誌では「世紀の問題作」として、大論争が巻き起こった模様。
ジャーナリズム的には、論争巻き起こすほどの、おいしいネタだったんでしょうね。

フリージャズの創始者・オーネット・コールマン(Ornette Coleman)の「Free Jazz (1961) Atlantic」に影響されちゃって、大編成でフリー風味な即興演奏を試してみた作品、とでも言っておきますね。

しかしこのアルバム、前述の通り「世紀の問題作」とかジャズ雑誌等に書かれているので長年、避けて(笑)いたのですが、聴いてみると全然、許容範囲な演奏だったりします。

壮絶なる「Live In Japan」とかの方が、よっぽど問題作だわー(笑)。

要するに、「フリージャズ」としては、とーっても聴きやすい作品だと思います。

という事で「Ascension」はどんな作品かと問われれば、「至上の愛」で頂点を極めた「モード」演奏から、新たなる「フリー」な演奏に移行する途中の模索、というか「習作」という位置付けではないかと。

編成は「黄金のカルテット」に、トランペット奏者を2人、サックス奏者を4人、ベーシストを1人を加えたもの。

さて、今回聴いているのは、演奏時間から推定するに「Ascension [Edition II]」だと思われます。

中身はというと、全員がアンサンブルというか集団即興を行うパートに続き、約2分ほど「ドラム」対「ソロ奏者」の果し合いが続く、という印象。しかも延々、約40分も(笑)。

熱狂的なホーン奏者7人のソロが終ると、ピアノ、ベースのソロが続きます。
ドラムのエルヴィンはもちろん、最初から最後までシンバル叩きっぱなし・・・。

先発はもちろん、リーダーのジョン・コルトレーン(John Coltrane)。
ソロ吹き出したものの、試行錯誤の途中で集団即興の波が押し寄せて時間切れ(笑)。

2番手はトランペットのディウェイ・ジョンソン(Dewey Johnson)は、マイルドなウディ・ショウ、といった感じのソロフレーズを繰り出します。

3番手のテナーサックスのファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)はと言うと、恒例(笑)の叫びのような雄叫びを上げ続け・・・。

アンサンブルの混沌の中から颯爽と登場するトランペットのフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)。4番手として切れ味鋭いソロで応酬・・・オーネットの「Free Jazz」に参加して慣れてるのかな。

5番手のアルトサックスのジョン・チカイ(John Tchicai)は、ジャッキー・マクリーンにも似たフレーズをかなりマイルドなトーンで披露。

20分経過、演奏も半ばに差し掛かり、ドラムの合図で喧騒が幻想に代わる中、6番目のソロとしてテナーサックスのアーチー・シェップ(Archie Shepp)が登場。
中音域をメインに、強烈なビブラートでソロ吹き散らかしていきます。

管楽器奏者最後に登場するのは、アルトサックスのマリオン・ブラウン(Marion Brown)。
比較的明るく明快なフレーズで、オーネット・コールマン的というか、マクリーン風の「滝から崩落する水しぶき」とでも形容したくなる下降フレーズを連発します。

ホーン奏者の喧騒的演奏が全部終ると、ピアノのマッコイ・タイナー(McCoy Tyner)が登場。
乱れず崩れず、いつものペンタトニック(?)フレーズでベースに引継ぎます。

ベースのアート・デイヴィス(Art Davis)とジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison)は、それぞれ弓弾きと指弾きを使い分けた短いソロを聴かせてくれます。

最後のアンサンブルは、混沌としてテーマフレーズがどれなのかすら判別不能(笑)。

このセッションの時、エルヴィン・ジョーンズが、演奏後にすねて「(もう)やってらんねーよ!」と叫び、スタジオを出て行ったという逸話があるそうです。

ホーン陣と丁々発止散々のやりとりを40分延々繰り広げれば、嫌になるわなあ・・・。

野獣エルヴィンのパワフルなドラムに手を焼いたコルトレーンが、「Free Jazz」を参考にホーン奏者の加勢を呼んで、集団でいたぶってみた・・・、という裏話が成立しそうな気がしたり・・・。

ちなみにパワフルで混沌としたこの「Ascension」録音した翌月7月、フランスで録音されたライブ音源には、タイトルを「Blue Valse (Blue Waltz)」とした、「Ascension」のカルテットバージョンが登場します。

演奏はというと、すっきりしたテーマ演奏後、「Eb minor」一発でアドリブやってるらしいです。

John Coltrane – Ascension (1965) Impulse! Records A-95

Freddie Hubbard (tp) Dewey Johnson (tp) Marion Brown (as) John Tchicai (as)
John Coltrane (ts) Pharoah Sanders (ts) Archie Shepp (ts)
McCoy Tyner (p) Art Davis (b) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (ds)

June 28, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

01. Ascension [Edition II] (John Coltrane) 40:27

参考までに「Ascension Edition I」の演奏はこちら。

<「Ascension」録音までの経過(抜粋)>

1964年02月、ハーフ・ノートにて、カルテットにオーネット・コールマンがトランペットで客演。
1964年06月、エリック・ドルフィー、糖尿病の悪化と心臓発作によりベルリンで客死。
1964年08月、アリスとの第1子誕生。

1964年12月、黄金のカルテットによるベストセラー「至上の愛(A Love Supreme)」録音。

1965年02月、「Chim Chim Cheree」を収録した「The John Coltrane Quartet Plays」録音。

1965年06月、「Kulu Se Mama」第1回目の録音(Vigil, Welcome)。

1965年06月、発表当時「世紀の問題作」と評された「Ascension」録音。

The Gentle Side Of John Coltrane (Compiled by Michael Coscuna)


1975年にマイケル・カスクーナ(Michael Coscuna)によって編纂された「The Gentle Side Of John Coltrane」というコンピレーションアルバムがあることをご存知ですか?

ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のバラッド風な演奏だけを集めた、秀逸で非常に聴きやすいアルバム。

コルトレーン関連のコンピレーションは数多発売されておりますが、「聴きやすさ」という点において、このアルバムを越える作品に未だ巡りあっておりません。

John Coltrane ‎– The Gentle Side Of John Coltrane

私は大学時代、後輩から貸してもらったレコードの中にこのアルバムがあり、カセットに録音して聴いていたのですが、また気軽に聴きたいなあ・・・と思い立ち調べてみたら、「LPレコード(2枚組)」と「CD(1枚)」では、収録時間の都合で曲順など、若干の変更が加えられていることが判明。

今更レコードを入手するのも面倒なので、手持ちのCD音源駆使し、このコンピレーションアルバムを、独自再編集してしまいました(笑)。

既発のものが1990年代初頭に発売された輸入盤CDのみで当然、音圧や音質が、ショボいだろう・・・という判断もあっての事ですが。

「Ballads」、「John Coltrane And Johnny Hartman」、「Duke Ellington And John Coltrane」という定番バラッドアルバムに加え、裏バラッドと呼びたい「Crescent」からも拾遺。

その他「Coltrane」、「Impressions」、「Transition」や、ライブアルバム「Coltrane Live At Birdland」、さらに過激な「Kulu Se Mama」からもバラツド風の演奏が選曲されているという、一般大衆向けに考え尽くされたアルバムだろうと思います。

「LPレコード(2枚組)」と、「CD(1枚)」との大きな違いは、「The Spiritual」【Coltrane “Live” At The Village Vanguard (Impulse! A-10)収録】の有無。

またCD化に伴い、後半の曲順を入れ替えてあります。レコード盤4面に配分した時と、気が変わったのか?
そのあたりの経緯は、マイケル・カスクーナご本人に尋ねるしかないですけどね。

「impulse!」レコード音源の所有会社さん、リマスターしてこのアルバムを再発してくれないかなあ。
ここまで出来の良いコンピレーションは、なかなかお目にかかれないので・・・。
と思って調べたら、2012年に日本盤発売されてましたね(笑)。

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The Gentle Side Of John Coltrane [CD](1991)
Impulse! ‎/ GRP GRD-107

Compiled by Michael Coscuna

01. Soul Eyes (Mal Waldron) 5:27
02. What’s New (Haggart, Burke) 3:48
03. Welcome (John Coltrane) 5:29
04. Nancy (With The Laughing Face) (Van Heusen, Silvers) 3:14
05. My Little Brown Book (Strayhorn) 5:23
06. Wise One (John Coltrane) 9:01
07. Lush Life (Billy Strayhorn) 5:32

08. Alabama (John Coltrane) 5:11
09. My One And Only Love (Wood, Mellin) 5:00
10. After The Rain (John Coltrane) 4:14
11. In A Sentimental Mood (Duke Ellington) 4:19
12. Dear Lord (John Coltrane) 5:38
13. I Want To Talk About You (Billy Eckstine) 8:11

John Coltrane (ts) McCoy Tyner (p) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (ds)

05: John Coltrane (ts) Duke Ellington(p) Aaron Bell(b) Sam Woodyard(ds)
07, 09: with Johnny Hartman(vo)
10: John Coltrane (ts) McCoy Tyner (p) Jimmy Garrison (b) Roy Haynes(ds)
11: John Coltrane (ts) Duke Ellington(p) Aaron Bell(b) Elvin Jones (ds)

Coltrane (Impulse! A-21)
Duke Ellington And John Coltrane (Impulse! A-30)
Ballads (Impulse! A-32)
John Coltrane And Johnny Hartman (Impulse! A-40)
Impressions (Impulse! A-42)
Coltrane Live At Birdland (Impulse! A-50)
Crescent (Impulse! A-66)
Transition (Impulse! AS-9195)
Kulu Se Mama (Impulse! A-9106)

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John Coltrane ‎– The Gentle Side Of John Coltrane [2LP](1975)
Impulse! / MCA Records ‎– MCA2-4136 (1975) US

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The Gentle Side Of Coltrane [Disc 1]

A1. Soul Eyes 5:22
A2. What’s New 3:43
A3. Welcome 5:17
A4. Nancy 3:09

B1. My Little Brown Book 5:30
B2. Lush Life 5:20
B3. Wise One 9:01

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The Gentle Side Of Coltrane [Disc 2]

C1. Alabama 5:05
C2. My One And Only Love 4:50
C3. I Want To Talk About You 8:50
C4. Dear Lord 5:34

D1. After The Rain 4:07
D2. In A Sentimental Mood 4:12
D3. The Spiritual 13:30

Coltrane “Live” At The Village Vanguard (Impulse! A-10)
Coltrane (Impulse! A-21)
Duke Ellington And John Coltrane (Impulse! A-30)
Ballads (Impulse! A-32)
John Coltrane And Johnny Hartman (Impulse! A-40)
Impressions (Impulse! A-42)
Coltrane Live At Birdland (Impulse! A-50)
Crescent (Impulse! A-66)
Transition (Impulse! AS-9195)
Kulu Se Mama (Impulse! A-9106)

コルトレーンのフリー時代の演奏はやはり、苦手(笑)


サイト「加持顕のジャズCD棚」は本来、ブルーノートレコードに特化した記事のみ掲載しようと意図して作ったのですが、レコード会社再編の影響か、CD再発頻度も落ち、目新しい再発もなくなってしまったので方針転換します。

しばらくは棚で目についたジャズCDや、新しく入手したアルバム記事を、ゆるゆる書き加えてみたいと思います。

今回からしばらくは、ジャズ界に多大なる影響を与える途中で夭折した、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の演奏キャリア後期の録音について。

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ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の音楽は、力を抜いたバラード的なものや、スピリチュアル系の演奏が好きだったりします。

特に60年代当時、アメリカの公民権運動と連動する、熱い「時代背景」にまったく影響されていない身としては、無意味に怒ってたり、激情的フリーキーな演奏は、体が受け付けないんです(笑)。

ちなみに1957年7月、コルトレーンは「神の啓示」を得た(笑)そうで。

1964年、「至上の愛(A Love Supreme)」で神の愛を賛美する裏で、これまでの私生活の乱れを妻アリスに公開謝罪(笑)、心機一転してます。

なお、『至上の愛(A Love Supreme)』以降、フリーキーな演奏に終始する作品群は怖くて(笑)、お勉強名目で聴き漁ってた時期ですら、聴くのを躊躇していたのですが。

最近、恐る恐る、最晩年の『Live In Japan』4枚組を聴いてみたのですが、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)のソロで、ギブアップ(笑)。

「何やってるのか、理解出来ない」旨、とあるSNSに投稿したら、当時のコンサートを見たらしい人からイチャモンらしきものをつけられ、さらに「嫌い度」が増した、という経緯もあったりします。

当時の時代及び歴史的背景を抜いて、単なるライブとして聴かせた場合、女子供に聴かせたら、ほぼ嫌がるだろう、こんな無茶な音楽、というのが、私自身の現在の見解です。

ドラッグかアルコールでも摂取してハイにでもなってない限り、拷問だよー、あの延々続く、激しすぎるサウンドは。

間違いなく、聴く人を選ぶ音楽です、『Live In Japan』は。

インドのシタール奏者・ラヴィ・シャンカールに影響され、公民権運動の象徴としての激情的音楽から、「平和と愛」を希求した、スピリチュアルな音楽へと方針転換するのですが、そのあたりは次回にでも。

<ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のざっくりした年表>

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<ハードバップ(修行時代)>
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ヘロイン(heroin)及びアルコールへの依存と、神の啓示

1955年、マイルス・デイヴィスのグループに加入。

1957年、セロニアス・モンクのグループに加入。

1957年7月、「神の啓示」を得る(笑)。
1957年9月、アルバム「Blue Train (Blue Note)」録音。

1958年、マイルス・デイヴィスのグループに再加入。

1959年、マイルスのアルバム「Kind of Blue (Columbia)」録音。

1959年、アルバム「Giant Steps (atlantic)」録音。

1950年代末にはコード進行に基づく演奏を極限まで追求し、
「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる演奏スタイルを確立。

ステージ上の劇場的で延々吹き続ける姿から、
「Angry Young Tenor Man(怒れる若きテナーマン)」と形容されるようになる。

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<モード(レギュラーグループ結成)>
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1960年、マッコイ・タイナー、エルヴィン・ジョーンズを加えた
「黄金のカルテット」と形容される自身のレギュラーグループ結成。

マイルスに影響されたのか、コード進行の束縛を脱したモード(旋法)による演奏にシフト。

1961年、インパルス!レコード(impulse! Records)に移籍。
1961年、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)を自身のグループに加える

1964年、夭折したドルフィーのバスクラリネットとフルートを譲り受ける。
1964年、神に捧げた4部構成による組曲のアルバム『至上の愛(A Love Supreme)』録音。

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<フリー(至高なる神への憧憬)>
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モード奏法を追求し終えたのか、無調性音楽であるフリー・ジャズへシフト。
当時の公民権運動と連動し、ジャズ界の象徴的存在へ祀り上げられる。

1965年、フリー・ジャズ的アルバム「Ascension」録音。

1965年、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)を自身のグループに加える。
1965年末、マッコイ・タイナーが退団し、アリスがグループ参加。

1966年3月、エルヴィン・ジョーンズが退団し、ラシッド・アリがグループ参加。
1966年7月、来日。有名なる「私は聖者になりたい(笑)」発言を残す。

1967年7月17日、肝臓癌にて夭折。
医者嫌いだったらしく、癌が発覚した時には、すでに手遅れ状態だった模様。

【Mixcloud】Mt.Fuji Jazz Festival 1987(1) with Blue Note


「Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note」というライブイベントは、他有名フェスティバル同様、TV放映とFM生中継が入るという豪華なものでした。

近年、TV放映された映像は、動画投稿サイトに大量にアップされておりますが、FM音源に関しては、なかなか出会う事もなく、時が過ぎ去っていきました。

そんな訳で、自分所有の音源を、自家リマスターしたものを、試しにアップしてみます。

今回は、ラジオっぽく、ジングルも自作してみました(笑)。

Mt.Fuji Jazz Festival 1987(1) with Blue Note from FM broadcast Air Check

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00:00 01. mfjf-jingle(Abdallah-15s)

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00:15 02. Samba Larue / O.T.B. 10:38
10:52 03. Inside Track / O.T.B. 7:40
18:32 04. Alone Alone And Alone / O.T.B. + Hino 7:06

O.T.B. meets Terumasa Hino
Michael Philip Mossman(tp) Steve Willson(as) Ralph Bowen(ts)
Renee Rosnes(p) Kenny Davis(b) Ralph Peterson(ds)
+ Terumasa Hino(cor)
August 29,1987 (Sat) 1st Set/2nd Day

ピアノがハリー・ピケンズからリニー・ロスネスに交代したO.T.B.、ゲストに日野皓正さんが参加するセット。
手元にある全曲お聴かせしたい処ですが、そこは我慢(笑)。
「Samba Larue」はラルフ・ピーターソンが脱退した後、3枚目のアルバムに収録されておりますが、やはりやんちゃ坊主全開のラルフがドラムでなきゃあ・・・ね。


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25:38 05. mfjf-jingle(nostalgia-15s)

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25:48 06. Saturday & Sunday / Grachan Moncur Sextet 13:22

Grachan Moncur Sextet featuring Tony Williams
Woody Shaw(tp) Grachan Moncur III(tb) James Spaulding(as)
Bobby Hutchurson(vib) Ron Carter(b) Tony Williams(ds)
August 29,1987 (Sat) 2nd Set/2nd Day

「One Step Beyond / Jackie McLean (Blue Note BST 84137)」に収録された曲を中心に演奏するセットだったのですが、肝心のジャッキー・マクリーンが急遽、来日出来なくなるというアクシデントに見舞われたようで。
ジャッキーの代わりに、フレディ・ハバードとの共演でお馴染み、ジェームス・スポウルディング(James Spaulding)が参加。フリーキーなトーンで演奏を盛り上げておりました。

ブルーノート・新主流派の作品群でお馴染みのボビー、ロン、トニーというリズム隊に加え、何故かトランペットのウディ・ショウ(Woody Shaw)が参加。
ウディの陰影の濃く熱いソロが、このバンド、最大の聴き処だったりします。

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39:10 07. I’ve Got It Bad(And That Ain’t Good) / Dianne Reeves & Billy Childs 7:50
47:00 08. Love For Sale / Dianne Reeves +OTB trio 5:53
52:53 09. What Is This Thing Called Love / James Spaulding & Freddie Hubbard +OTB trio 21:04

Jam Session #2
Dianne Reeves(vo) Billy Childs(p) Kenny Davis(b) Ralph Peterson(ds)
Freddie Hubbard(tp) James Spaulding(as) Renee Rosnes(p)
August 29,1987 (Sat) Night Stage at Hotel Mt. Fuji

マイケル・カスクーナが司会進行を勤める「ジャムセッション」では、大型新人としてダイアン・リーブス(Dianne Reeves)が登場。
途中、O.T.B.のラルフ・ピーターソンらを加え、迫力あるステージを繰り広げております。

引き続き、O.T.B.のリズム隊をバックに、ジェームス・スポウルディング(James Spaulding)が「恋とは何でしょう(What Is This Thing Called Love)」を演奏。
途中から、お祭り男の異名を持つ、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)が加わり、ここにはアップしてませんが、自作曲「Hub-tones」も演奏してました。
その後、大物ミュージシャンが続々登場したようですが、詳細は不明なんです。



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73:56 10. mfjf-jingle(Abdallah-30s)

ジャズのCD(Blue Note)などをゆるゆるご紹介