キース・ジャレットのアトランティック時代のベスト・アルバム(2008)

「Somewhre Before: The Keith Jarrett Antology / The Atlantic Years 1968-1975」は、2008年発売の、キース・ジャレットがアトランティック時代(1968-1975)に録音した、リーダーアルバム群から選曲された2枚組ベスト・アルバムです。

Keith Jarrett - Somewhre Before - The Keith Jarrett Antology (2008)

具体的には、「人生の2つの扉[Vortex] 1967」、「Somewhere Before [Vortex] 1968」、「流星[Atlantic SD] 1971」、「最後の審判 [Atlantic] 1971」、「誕生[Atlantic] 1971」、「Gary Burton and Keith Jarrett [Atlantic] 1970」の6枚からの選曲となります。

なお、マルチ演奏者ぶりを発揮した「Restoration Ruin [Vortex] 1968」は、収録されておりません。

「ディスク1」は、ピアノトリオ中心。「ディスク2」は、ゲイリー・バートンとの双頭バンドと、カルテットでの演奏という編成。


Somewhre Before: The Keith Jarrett Antology – The Atlantic Years 1968-1975
Warner Classics & Jazz / Rhino Records 8122 79946-7
———————————————————-
Keith Jarrett – The Atlantic Years 1968-1975 [Disc 1]
———————————————————-

Life Between The Exit Signs [Vortex LP 2006] 1967
01. Life Between The Exit Signs 6:53
02. Everything I Love (Cole Porter) 4:32
03. Margot 3:43
04. Lisbon Stomp 6:04

Somewhere Before [Vortex LP 2012] 1968
05. New Rag 5:41
06. Pouts’ Over (And The Day’s Not Through) 4:37
07. Somewhere Before 6:51
08. A Moment For Tears 2:58

The Mourning Of A Star [Atlantic SD 1596] 1971
09. Standing Outside 3:20
10. Trust 6:56
11. All I Want (Joni Mitchell) 2:21
12. The Mourning Of A Star 9:21

all composed by Keith Jarrett

———————————————————-
Keith Jarrett – The Atlantic Years 1968-1975 [Disc 2]
———————————————————-

Gary Burton and Keith Jarrett [Atlantic SD 1577] 1970
01. Grow Your Own 4:54
02. Como En Vietnam 7:03
03. Fortune Smiles 8:29
04. The Raven Speaks 8:17

Birth [Atlantic SD 1612] 1971
05. Birth 6:10
06. Mortgage On My Soul (Wah Wah) 5:35

El Juicio (The Judgement) [Atlantic SD 1673] 1971
07. Toll Road 5:44
08. Gypsy Moth 8:17
09. Pardon My Rags 2:43

Somewhere Before [Vortex LP 2012] 1968
10. Old Rag 2:38

all composed by Keith Jarrett


●Disc 1-01,02,03,04 –
Life Between The Exit Signs(人生の2つの扉)[Vortex LP 2006] 1967

Keith Jarrett (p) Charlie Haden (b) Paul Motian (ds)
NYC, May 4, 1967

●Disc 1-05,06,07,08 / Disc 2-10 –
Somewhere Before [Vortex LP 2012] 1968

Keith Jarrett (p, ss, recorder) Charlie Haden (b) Paul Motian (ds)
October 30, 1968 at Shelly’s Manne-Hole in Hollywood, CA.

●Disc 1-09,10,11,12 –
The Mourning Of A Star(流星)[Atlantic SD 1596] 1971

Dewey Redman (ts) Keith Jarrett (p, ss, steel ds, conga)
Charlie Haden (b, steel ds) Paul Motian (ds, steel d, cga)
July 8, 1971 in NYC.

●Disc 2-07,08,09 –
El Juicio (The Judgement)[最後の審判 (ジェリコの戦い)] [Atlantic SD 1673] 1971

Dewey Redman (ts) Keith Jarrett (p, ss, steel ds, conga)
Charlie Haden (b, steel ds) Paul Motian (ds, steel ds, conga)
July 8, 1971 in NYC.

●Disc 2-05,06 –
Birth(誕生)[Atlantic SD 1612] 1971

Dewey Redman (ts) Keith Jarrett (p, ss, steel ds, conga)
Charlie Haden (b, steel ds) Paul Motian (ds, steel ds, conga)
July 8, 1971 in NYC.

●Disc 2-01,02,03,04 –
Gary Burton and Keith Jarrett [Atlantic SD 1577] 1970

Gary Burton (vib) Keith Jarrett (p, el-p, ss) Sam Brown (g) Steve Swallow (b) Bill Goodwin (ds)
July 23, 1970 at A&R Studios in NYC.


キースの演奏は「ピアノソロ」による諸作品、「スタンダーズ・トリオ」による演奏、「アメリカン・カルテット」に「ヨーロピアン・カルテット」と一通り聴いたので、残る作品群を探していた時に見つけたコンピレーションアルバムでした。

トリオ編成による「Life Between The Exit Signs(人生の2つの扉)」はまだ未聴だったので、後ほど単独でアルバムを入手してみようかと思ってます。

「Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977」は、祭りの喧騒

フリージャズの指導的存在で「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」の提唱者、「オーネット・コールマン(Ornette Coleman)」。

Ornette Coleman - Dancing In Your Head (1977)

1976年に録音した「ダンシング・イン・ユア・ヘッド(Dancing In Your Head)」は、お祭り騒ぎ的な「Theme From A Symphony」の2バージョンと、1973年にモロッコで現地のミュージシャンの演奏に合わせ録音した「Midnight Sunrise」が収録されております。

さて、2つのバージョンが収録される「Theme From A Symphony」。

ファンク&ロックのビート、2ギター奏でるカラフルなサウンドをバックに、オーネットがスカっと気持ちよく吹きまくっております(最後まで)。

明るく異国情緒漂う音の羅列と、「祭りの喧騒」にも似たリズムが交じり合い、祝祭的な雰囲気を醸し出していきます。

この猥雑極まりない音楽はCDより、プチプチノイズ入りのアナログレコードで聴くべきだと思います。

しかし、テナーのようなぶっとい音でオーネット奏でるソロのポップさ加減は凄まじいの一言。

初期のナイフのように尖った演奏から想像出来ないほどの、変貌具合かなと。

最後に登場するのがモロッコで録音された「Midnight Sunrise」。

バグパイプのような響きと、和太鼓奏でる如き単調なリズムに乗せ、オーネットが即興演奏を繰り広げるもの。


Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977
A&M/Horizon SP-722 / Universal Music UCCU-6118 [2011.07.20]

Ornette Coleman (as) Charles Ellerbee(g) Bern Nix (g) Rudy MacDaniel (b) Ronald Shannon Jackson (ds)
December, 1976 at Barclay Studios, Paris, France.

01. Theme From A Symphony (variation 1) 15:37

02. Theme From A Symphony (variation 2) 11:06

Robert Palmer (cl, wood-fl) Ornette Coleman (as, tp, electric violin)
The Master Musicians Of Jajouka (pipes, fl, three lutanists, violin, ds)
January, 1973 in Jajouka, Morocco.

03. Midnight Sunrise 4:36


この時代のオーネット・コールマンは、「フリー・ジャズ(Free Jazz)」と呼ばれる演奏スタイルに、理論武装を施すため、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」なる、未だ定義があいまいな「演奏理論」を口にするようになります。

で、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」てなんじゃい?という事で、いろいろと他サイトを調べてみましたが、霞を掴むが如く(笑)。

オーネットの下に集まって、自由奔放に音を出した結果生まれる「演奏」を「ハーモロディクス(Harmolodics)」と呼んでいるようです。

これはオーネットの「理論」というより、「ハーモロディクス現象」とか「ハーモロディクス効果」と呼んだほうが、しっくり行くのではないかと思いますが、如何なもんでしょ?

「Ornette Coleman – Free Jazz +1 [Atlantic] 1960」は難解じゃなかった

「オーネット・コールマン(Ornette Coleman)」の作品群を聞く際、どうしても「フリージャズ=訳分かんない」という先入観念から、なかなか「気軽に聴く気になれない」んですが・・・。

Ornette Coleman - Free Jazz +1 [Atlantic LP 1364] (1960)

覚悟を決めて(笑)聴いて見ると、案外ふつーに聴けたのがこの、1960年に録音された「Free Jazz (Atlantic LP 1364)」。

クラッシック(現代音楽)から、フリージャズに入った方がより、理解し易いみたいですが、残念ながら私は、現代音楽には興味がなくて、詳細語れません、あしからず(笑)。

コード進行やテーマの小節数、リズムパターンなどを廃し、滅茶苦茶やってるだけ(笑)かと思えば、ベースのスコット・ラファロなど、クラッシックの素養があるミュージシャンが、荒れ狂う音の洪水を、ギリギリの処で、「音楽の枠内」に踏みとどめているような感じ。

溢れる音の洪水に呑まれぬよう、各人が「尖がった音の塊」を投げつけていく、といった風にも思えます。

なお後にオーネット・コールマンは、この演奏方法を「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」と名付け、
「俺達は無茶苦茶やってるじゃないもん!法則性に基づいてやってるんだ!」
と、開き直りますが、パ●ト・メ●ニーら勘違い(と言われている)組を含め、理解出来るものはごく少数だった模様(笑)。

さてこのアルバム、「Free Jazz – A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet」とジャケットに記載されてますように、左右のチャンネルに別々のカルテットを配し、コードや小節数の制約がない状態で延々(約37分)、即興演奏を繰り広げます。

この録音に関しては、あらかじめ決められていたのは、「ソロの順番」と「演奏時間」だった模様。

レコード時代には、AB両面で1曲という凄い事になってたようで。

CD時代に1曲につながった演奏を聴く事が出来るようになりましたが、これはこれで、別の問題が発生してたりします。

つまり、人間の集中力の持続時間という問題がありまして、これが約45分(15分×3回)。

良い音で聴けるLPレコードの収録時間が約20分という話もありますが、人が「集中して聴ける持続時間」という点でも、合致してる訳でありますね。

さて、アルバム「Free Jazz +1 [Atlantic] 」の話に戻ります。

派手なテーマらしきものが演奏された後、いきなりドロフィーのソロが始まります。
なお、各人のソロが終る頃、合奏(テーマ)らしきものが挟まれます。

ソロの間、他の奏者がナニをしてるかというと、適度に合いの手を入れてる感じ。

演奏はまず「エリック・ドルフィー(bass-cl)」が約5分ほど演奏し、次に「フレディ・ハバード(tp)」 が約5分ほど演奏。

次に「オーネット・コールマン(as) の演奏が10分弱ほど続き、LPレコード時代には、ここでA面(Part 1)終りとなる模様。

ここまで息つく暇もないまま、経過時間約20分(笑)。

LPレコード時代のB面(Part 2)、まずは「ドン・チェリー(pocket-tp)」の演奏が約5分。

フロント陣が終るとリズム隊でまず、ベースの「チャーリー・ヘイデン(b)」のソロが約4分 で、「スコット・ラファロ(b)」 ソロが約4分。

最後にドラムの「エド・ブラックウェル(ds)」が約1分、「ビリー・ヒギンズ(ds) 」が約1分ソロを演奏。

CD時代に追加された「The First Take」という曲は「Free Jazz (alternate take)」であり、リハーサル的に約17分というコンパクトな時間で、「Free Jazz」が演奏されております。


なおジャケットの窓から見える絵画は、抽象表現主義の代表的な画家・ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)の「ホワイト・ライト(White Light) (1954)」という作品。

この作品は現在、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されているそうです。


Ornette Coleman – Free Jazz +1 [Atlantic LP 1364] (1960)

01. Free Jazz (Ornette Coleman) 37:03

[CD bonus track]
02. The First Take [Free Jazz (alternate take)] (Ornette Coleman) 17:00

A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet

Ornette Coleman (as) Don Cherry (pocket-tp)
Scott LaFaro (b) Billy Higgins (ds) [left channel]

Eric Dolphy (bass-cl) Freddie Hubbard (tp)
Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds) [right channel]

December 21, 1960 at A&R Studios in NYC.

Supervised by Nesuhi Ertegun
Painting – Jackson Pollock
Album Design – Loring Eutemey
Recording Engineer – Tom Dowd

チャールス・ミンガス「直立猿人(Pithecanthropus erectus)」

今朝の会話の中で、とある曲についての話が出てきたので、解説文もどきをこちらにまとめてみました。

Charles Mingus - Pithecanthropus erectus(直立猿人)

チャールス・ミンガス率いるジャズ・ワークショップが演奏する「Pithecanthropus erectus(直立猿人)」。

チャールス・ミンガスが夢にみた、初めて2足歩行した猿人(ピテカントロプス)の「進化~優越~衰退~滅亡」という過程を、組曲風に1曲にまとめたという風変わりな曲。

前衛的というか、変わってるというか。

まあ、「アメーバ」を題材にした曲作ってた人も居るので、ジャズ界には変人が多いのかもしれませんが。

ジャッキー・マクリーンのフリーキーなトーンは、実は1956年でも披露されていた、という事実に呆然としてしまう訳でございますな。

ユニークな奏法で私も大好きな、相方J.R. モンテローズの怪演も聴き処。

Charles Mingus – Pithecanthropus erectus(直立猿人)
Atlantic LP 1237

Jackie McLean (as) J.R. Monterose (ts)
Mal Waldron (p) Charles Mingus (b) Willie Jones (ds)
Audio-Video Studios, NYC, January 30, 1956

Pithecanthropus Erectus: Evolution / Superiority-Complex / Decline / Destruction



ちなみに前述の、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の「Amoeba’s Dance」という曲はこんな感じです。
変わったもの大好きな、アルフレッド・ライオンのブルーノートから発売された10インチアルバムから。


ヨレ気味だからこそ聴きやすい遺作「John Coltrane – Expression (1967)」

肝臓癌由来の痛みをこらえつつ演奏を録音し、発売の手配を続けた「Expression」は、ヨレ気味な演奏ゆえ、過激な部分がナリを潜め、聴きやすくなったのは皮肉な話ですな。

ラヴィ・シャンカールが説く「静寂」と「安らぎ」が具現化したようなアルバムです。

John Coltrane - Expression

<突然の容態悪化、そして昇天>

1967年7月15日(土)まで、妻や親族、音楽仲間にさえ容態の悪化を覚られないまま、具合の悪い状態でコルトレーンは活動を続けていたそうです。

自宅の地下室のスタジオを作り、最新録音機材まで揃え、何故、何事もないように活動を継続するそぶりを見せていたのか・・・。

前兆として、1967年 5月に内臓の激痛により倒れていたそうですが・・・。

そして、コルトレーン生涯最後、日曜日の朝を迎えます。

1967年7月16日(日)、日曜日の朝。食事が取れないほど衰弱したため、ハンティントン病院に救急患者として入院。

そして翌日7月17日(月)午前4時、肝臓癌により昇天(死去)。

音楽仲間、そして公民権運動のシンボルとして見ていたアフリカ系アメリカ人達に、突然の喪失感と、衝撃が走ります・・・。

<遺作「Expression (impulse! A-9120)」>

今回ご紹介する「Expression」は、1967年冬から春にかけて録音された作品。
ジョン・コルトレーンのスタジオ録音・最終作(遺作)であり、「平和と愛」を探求するかの如く、スピリチュアルな演奏であります。

タイトルの「Expression」は、日本語では
「(気持ち・性格などの)表われ、しるし」という意味だそうで。

ここ最近のブログ記事で延々書いている通り、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が残した作品群のうち、最晩年にあたる1965年から1967年の録音は、公民権運動の高まりと呼応して、激流の如く変化していきました。

モード奏法の追求から、公民権運動と連動した激情的フリー的演奏、そして、ラヴィ・シャンカールを師と仰ぎ「平和と愛」を探求するスピリチュアルな演奏へ。

さて、「Expression」の収録曲をざっと紹介致します。

1曲目「Ogunde」は、短い幻想的なバラッド。

2曲目「To Be」も幻想的で浮遊感溢れる曲。
コルトレーンのフルートと、ファラオ・サンダースのピッコロが絡んだ後、ピアノソロの後ろで、誰が叩いてるかわからない鈴やボンゴが鳴り響きます。
コルトレーンはフルートの音に声を混ぜ、フルートソロを展開してますね。

3曲目「Offering」は、ややアグレッシブな演奏。
イントロは「A Love Supreme, Pt. 1: Acknowledgement」の変形パターンか。
病魔に冒されたコルトレーンが最後の気力を振り絞り、弱弱しく、テナーを吹こうとしてる様子がありありと思い浮かべられます。

4曲目「Expression」は、自らの昇天を予感しているかのような、清々しい演奏。
延々、激烈な演奏を聴いた耳には、かなりよれよれで弱ってる感じが痛々しいですね。
コルトレーンに続くアリスとサンダースがその分、頑張ってますが・・・。

John Coltrane – Expression (1967)
impulse! A-9120

01. Ogunde (John Coltrane) 3:32
02. To Be (John Coltrane) 16:29

03. Offering (John Coltrane) 8:31
04. Expression (John Coltrane) 10:56

1, 4 –
John Coltrane (ts) Alice Coltrane (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds)
March 7 & spring 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

2, 3 –
John Coltrane (fl,ts) Pharoah Sanders (piccolo) Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds)
February 15, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

このアルバムでは、珍しくフルートを吹いてますが、これ、1964年にヨーロッパで客死した、盟友・エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)の遺族から譲渡された遺品だそうです。

<「Expression」に至る過程(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。
◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。
◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

☆1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」録音。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

コルトレーン御一行・日本滞在記「Live In Japan(1966)」

1966年7月。

衝撃的なビートルズ初来日直後、コルトレーン御一行が日本の地に降り立ちます。
過密スケジュール中、長崎平和公園を訪れていることからも推測出来ますが、新曲「Peace On Earth(地球の平和)」を、広島と長崎に捧げるために、遠路はるばる日本を訪れたのかもしれません。

John Coltrane Live in Japan

また、1963年7月に庇護者・ニカ男爵夫人と共に来日したセロニアス・モンクや、

1963年9月に来日した大親友・ソニー・ロリンズが語る「日本への好印象」も、コルトレーンが訪日にかける意気込みに、大きく左右したはず。

「コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書) : 藤岡 靖洋」などを参考にしつつ、来日時の足取りを辿ってみましょう。

今予定を眺めると、強行スケジュールどころか「狂気の沙汰」でありますな・・・。
ふつーの人間なら、途中で確実にぶっ倒れてますよ・・・これは。

コルトレーンご一行日本滞在:1966年7月08日(金)-7月25日(月)

<8都市15公演、日本のジャズメン達との共演セッション2回>

1966年7月08日(金)、羽田国際空港着~東京プリンスホテル宿泊。
1966年7月09日(土)、記者会見(東京プリンスホテル)、学生達による質疑応答、TBSインタビュー

1966年7月10日(日)、サンケイホール(東京都)
1966年7月11日(月)、サンケイホール(東京都)☆
1966年7月12日(火)、フェスティバルホール(大阪府)
1966年7月13日(水)、広島公会堂(広島県)
1966年7月14日(木)、長崎公会堂(長崎県)
1966年7月15日(金)、長崎平和公園で合掌、福岡市民会館(福岡県)
1966年7月16日(土)、京都会館第二ホール(京都府)、松竹座(大阪府)

1966年7月17日(日)、神戸国際会館ホール(兵庫県)△
1966年7月18日(月)、新宿厚生年金会館(東京都)
1966年7月19日(火)、新宿厚生年金会館(東京都)
1966年7月20日(水)、フェスティバルホール(大阪府)
1966年7月21日(木)、静岡市公会堂(静岡県)
1966年7月22日(金)、新宿厚生年金会館(東京都)☆、東京ビデオホール[交流ジャムセッション]
1966年7月23日(土)、愛知文化講堂(愛知県名古屋市)

1966年7月24日(日)、東京ビデオホール[交流ジャムセッション]
1966年7月25日(月)、羽田国際空港より帰国。

☆「Live In Japan」に収録されたコンサート
△プライベートテープが存在

2日に渡る日本人ジャズミュージシャンとの「交流ジャムセッション」には、ジョージ川口さん、松本英彦さんらが参加。

22日(金)は「バードランドの子守唄(Lullaby Of Birdland)」、「Softly, As In A Morning Sunrise」など4曲。
24日(日)は「Now’s The Time」、「There Will Never Be Another You」など3曲を演奏したそうな。

日野皓正さんも会場に居たようですが、セッションに参加してたかは不明。

ディスコグラフィー上では「rejected」と記載された「プライベート録音」が、
現存してたら凄い事になる訳ですが・・・さて。

さて、強行スケジュールで日本全国を駆け回ったうち、東京での公演を収録した「Live In Japan」。

「Afro Blue」、「My Favorite Things」、「Crescent」というお馴染みな曲に加え、2つ新曲の「Leo」、「Peace On Earth(地球の平和)」の、長尺演奏を聴く事が出来ます。
静(コルトレーン)と動(サンダース)の対比が、より荒々しく感じられますが、この殺人的な演奏スケジュールでは、仕方ない事かな・・・と。

ジャズ評論家・岩波洋三氏の感想によると、コルトレーンは演奏のクライマックスで、よだれを垂らしながら演奏していたそうで・・・。

岩波氏は続けて「それは、性行為のクライマックスを思わせる」とも書き記しています。
自己完全燃焼するその姿を評して、「爽やかの無くなった演奏」とも。

ディスコグラフィーを眺めると、東京での正規録音の他、7月17日(日)「神戸国際会館ホール」の演奏がプライベートテープで存在する模様。

John Coltrane – Live In Japan
Impulse!/GRP 41022

John Coltrane (ss, as, ts, per) Pharoah Sanders (as, ts, bass-cl, per) Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Hisato Aikura (announce)

Disc 1 & 2: July 11, 1966 at “Sankei Hall”, Tokyo, Japan.
Disc 3 & 4: July 22, 1966 at “Shinjuku Koseinenkin Kaikan”, Tokyo, Japan.

<July 11, 1966 at “Sankei Hall”, Tokyo, Japan. >

Live In Japan [Disc 1] July 11, 1966

 01. Afro Blue (Mongo Santamaria) 38:48
 02. Peace On Earth (John Coltrane) 26:24

Live In Japan [Disc 2] July 11, 1966

 01. Crescent (John Coltrane) 54:34

<July 22, 1966 at “Shinjuku Koseinenkin Kaikan”, Tokyo, Japan. >

Live In Japan [Disc 3] July 22, 1966

 01. Peace On Earth (John Coltrane) 25:06
 02. Leo (John Coltrane) 44:50

Live In Japan [Disc 4] July 22, 1966

 01. My Favorite Things (Richard Rodgers & Oscar Hammerstein II) 57:19

日本の7月、梅雨と真夏の境目の時期に「弾丸ツアー」を行ったコルトレーン一行。

高温多湿の過酷な環境の中、新幹線、飛行機、特急を乗り継いで移動・・・。
コンサートでは、全力で1時間半吹きっぱなしとなれば、体調崩さない方がおかしいと思われます。

実際、コルトレーンはこの来日公演以降、体調を崩してしまったという。
肝臓癌に、過労が追い討ちをかけたともいえますね。

あえて原爆が投下された2都市を廻り、新曲「Peace On Earth(地球の平和)」を演奏したコルトレーン。

「愛と平和」を希求する彼に残された時間は、過酷な日本公演が原因で短くなったようですが、悔いはないでしょうね。

今でもコルトレーンの命日である「7月17日」には、日本全国のジャズ喫茶で、コルトレーンの音楽が流れるほど、日本のジャズファン達に愛され続けておりますから。

<「Coltrane Live In Japan」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。
◎1965年2月18日、「The John Coltrane Quartet Plays」1回目のセッション。
▲1965年2月21日(マルコムX (Malcolm X)暗殺される)

◎1965年5月17日、「The John Coltrane Quartet Plays」2回目のセッション。
◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。
◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

☆1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。
◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

あ、有名な「私は聖者になりたい(笑)」発言について、書くの忘れてた(笑)。

新妻アリスに対し、過去の不逞を「公式謝罪」する意味合い含む発言だったそうです。

パワフルな演奏から推測出来るように、何人かの女性と深い関係があった模様。

公民権運動と「Coltrane Live At The Village Vanguard Again! (1966)」

今回は1966年6月、壮絶なる日本ツアー直前に録音された、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」です。

John Coltrane - Coltrane Live At The Village Vanguard Again!

タイトル的には、1961年11月に録音された、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)入りの「Coltrane “Live” At The Village Vanguard (Impulse! A-10)」再び!という感じですか。

1961年版はドルフィー効果か、あっけらからんとしたアヴァンギャルドな演奏が多いですが、

1966年版は「Live In Japan」同様、絶叫というか振り切れた演奏です。

以下、長くなりますが、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」に至るコルトレーンの音楽的変質の謎が、自分なりに納得出来たので、当時の時代背景含め書いていきます。

「1961年版」と「1966年版」。

5年隔てたライブが、何故こんなに変貌してしまったかの鍵は、当時アメリカの国内情勢を紐解くことで見えてくる気がします。

まずコルトレーンの作品群を眺めていると、1965年2月付近で変質していく事に気がつきます。

「至上の愛(A Love Supreme)」で、神を賛美してたコルトレーンが突然、「Kulu Se Mama」、「Ascension」など、フリーフォームに転進した作品を発表。

アフリカ回帰、インド思想への傾倒を顕著にした、激情的雄叫びを上げ始めるようになります。

アメリカの歴史に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、そうです、黒人公民権運動活動家・「マルコムX (Malcolm X)暗殺」を境に、激変していく訳ですね。

ムスリムの「マルコムX」が暗殺された事により、自ら信じるキリスト教への疑問を感じ始めた?
キリスト教を一旦横に置いて、「愛と平和」を求め、他宗教に目を向け始めたとも言えますか。

さて、1966年5月28日のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブを収録した「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」の収録曲は、たった2曲(笑)、「Naima」と「My Favorite Things」だけ。

1965年末の録音(Meditations)で、宗教臭い演奏に嫌気が差したピアノのマッコイ・タイナーが退団したため、1966年初頭からバンドに参加した、アリス・コルトレーンがピアノを弾いております。

ドラムも、前衛派でサン・ラ(Sun Ra)との共演経験があるラシッド・アリ(Rashied Ali)に代わってますね。

1曲目は、お馴染み「Naima」。

ライブでラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)の教え、「(静寂(シャンティ)」と「安らぎ」が感じられる演奏です。

途中ソロで登場するファラオ・サンダースの咆哮が、全てをぶち壊しますが(笑)。

思索的な静(コルトレーン)と、激情なる動(サンダース)のコントラストが、最晩年でのコルトレーンバンドの、大きな特徴なのかもしれません。

「Live In Japan」の如く静と動のバランスが崩壊すると、聴くにたえない状態になりますが、ここでの演奏は、ぎりぎり均等を保ってる感じかと。

レコード時代にはA面最後になりますが「My Favorite Things」の前に、「Introduction To My Favorite Things」と題されたジミー・ギャリソンのベースソロが、6分ほど収録されてます。

2曲目は、スピリチュアルな演奏に変貌した「My Favorite Things」。ベースソロに続いたコルトレーンがテーマを吹き始める前、ソプラノサックスで、幻想的というか、摩訶不思議なフレーズを紡いでいきます。

悲痛な叫びを上げるサンダースのバックで、コルトレーンが吹く、フルートの音が聴こえます。

このアルバムでコルトレーンは、バスクラリネットも吹いてるみたいですが、どの部分がバスクラリネットなのか未だ判断出来てません(泣)。

ただ、いずれの楽器も1961年版に参加してたエリック・ドルフィーの遺品らしいです。

John Coltrane – Coltrane Live At The Village Vanguard Again! (1966)
Impulse! A-9124

John Coltrane (ss, ts, bass-cl, fl) Pharoah Sanders (ts, fl)
Alice Coltrane (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Emanuel Rahim (per)
May 28, 1966 at “Village Vanguard”, NYC.

01. Naima (John Coltrane) 15:12
02. Introduction To My Favorite Things (Jimmy Garrison) 6:11

03. My Favorite Things (O. Hammerstein II, R. Rodgers) 20:23

<「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。
◎1965年2月18日、「The John Coltrane Quartet Plays」1回目のセッション。

▲1965年2月21日(マルコムX (Malcolm X)暗殺される)

◎1965年5月17日、「The John Coltrane Quartet Plays」2回目のセッション。

◎1965年5月26日、「Transition」1回目のセッション。
◎1965年6月10日、「Transition」2回目、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。
◎1965年6月16日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

◎1965年6月28日(38歳)、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。
◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

<補足>

マルコムXやキング牧師らが大きな影響を与えた、アフリカ系アメリカ人公民権運動(African-American Civil Rights Movement)は、1950年代から活発化。
1960年代後半には「怒り」のエネルギーとなり、アメリカ全土を覆い尽くしていたようです。

そんな中、1965年2月21日には、黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)が、教団指導者の不逞を理由に脱退した、イスラム教系教団(NOI)の信者達により、銃で撃たれ暗殺されます。

コルトレーンのディスコグラフィを眺めると、分岐点となる2月21日前後に、「The John Coltrane Quartet Plays (Impulse! A-85)」セッションが挟まってます。

6月10日、「Transition」と「Kulu Se Mama」に分散収録されたセッションでは、マルコムX追悼と思われる「組曲」を録音しておりますね。

ちなみに、ネーション・オブ・イスラム教団(NOI)は、黒人の経済的自立を目指す社会運動で、白人社会への同化を拒否し、黒人至上主義を掲げる宗教運動だそうです。

黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)は、ネーション・オブ・イスラム (NOI) のスポークスマンを経て、ムスリム・モスク・インク (Muslim Mosque, Inc.) 及び、アフリカ系アメリカ人統一機構 (Organization of Afro-American Unity) の創立者。

1965年2月21日、裏切り者として暗殺対象とされた、NOIの信者達に銃で暗殺される。

混沌と瞑想の狭間へ「John Coltrane – Meditations (1965)」

60年代後半、黒人公民権運動活動家・マルコムX (Malcolm X)暗殺を境に、アフリカ系アメリカ人の暴発寸前の熱い思いと共鳴し、絶叫し続けたコルトレーン。

かつてのボス、マイルス・デイヴィスの言葉から端折って引用すると、「特に若い知識層や革命論者の間では、トレーンが音楽で彼らの気持ちを代弁し、シンボル的存在だった」そうです。

John Coltrane - Meditations (1965)

今回ご紹介する「瞑想(Meditations)」は、そんなコルトレーンが奏でる混沌と瞑想の狭間にある、神秘的というか「静寂と安らぎ」入り混じる、摩訶不思議なセッション。

アフリカ回帰を前面に打ち出した「Kulu Se Mama」から約1ヶ月後の録音ですね。

黄金のカルテットに加え、テナーサックスのファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)、ドラムのラシッド・アリ(Rashied Ali)を加えた編成で演奏されます。

さて。ずらっと並ぶ曲には、宗教色、精神性を前面に打ち出した題名が並んでおります。

1曲目は、「父なる神・御子キリスト・聖霊(The Father And The Son And The Holy Ghost)」と題された曲。

「父」、「息子(イエス・キリスト)」、「聖霊(聖神)」は全て同じであり、一つである、というキリスト教の基本となる教え、三位一体(至聖三者)の事らしいです。

題になぞられ、左右に分かれた2テナーが同時にソロを展開。

そこにリズム隊を加える事で、音楽による「三位一体」を表現したかったのか?

約13分に渡り、聖邪入り混じるかのような、混沌とした音の洪水が続きます。

「Om(阿吽)」を聴いたラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)に、解釈の間違いをたしなめられたコルトレーンですが、師の諭しを忘却したが如く、「Om(阿吽)」路線の過激な演奏を繰り広げます。

2曲目「慈悲(Compassion)」は、サイケデリックな瞑想といった雰囲気の曲。定型ビートで時々、鈴のような音鳴り響く中、マッコイ~コルトレーンとソロが引き継がれます。

3曲目「愛(Love)」は、ベースソロから始まる、穏やかな雰囲気の曲。

4曲目「威厳(Consequences)」は、前曲の静寂をぶち壊すかのように、左右に分かれた2テナーによる絶叫が続きます。

続くマッコイも、穏やかながらも、せわしないピアノソロを展開。

5曲目アルバム最後を飾る「静寂(Serenity)」は、前のピアノソロを引き継いで、コルトレーンの瞑想的ソロが展開されます。

コルトレーンが考えてた「瞑想(Meditations)」とは、どのようなものだったのか。
多分、コルトレーンも他人に説明出来るほど、深く考えていなかったものと推測します(笑)。

とりあえず頭を空っぽにして、混沌と渦巻く音の洪水に、しばし浸かってみるのも一興かと。

John Coltrane – Meditations (1965)
impules! AS-9110

01. The Father And The Son And The Holy Ghost (John Coltrane) 12:49
02. Compassion (John Coltrane) 6:49

03. Love (John Coltrane) 8:08
04. Consequences (John Coltrane) 9:11
05. Serenity (John Coltrane) 3:30

John Coltrane (ts, per) Pharoah Sanders (ts, tambourine, bells)
McCoy Tyner (p) Jimmy Garrison (b) Rashied Ali (ds) Elvin Jones (ds)
November 23, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

<「Meditations」録音の頃(抜粋)>

◎1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年6月10&16日(38歳)、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月28日、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。
◎1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

☆1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年2月2日、「Cosmic Music」セッション(コルトレーン・パート)。

◎1966年6月28日、「Coltrane Live At The Village Vanguard Again!」録音。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。
◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

「John Coltrane – Kulu Se Mama (1966)」-静寂と安らぎ-

混沌たる「Ascension(神の国)」及び「Om(阿吽)」の前後に録音されたのが、今回ご紹介する、静寂と安らぎ溢れるアルバム「Kulu Se Mama」です。

John Coltrane - Kulu Se Mama (1966)

アフリカ伝来のサム・ピアノ(親指ピアノ)をつま弾く音を導入したり、「Om(阿吽)」を詠唱したりと、ジャズから逸脱した、混沌極めるアルバム「Om(阿吽)」を録音したコルトレーン(生存時は未発表)。

ライブでラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)に「Om(阿吽)」を披露し、「(静寂(シャンティ)」と「安らぎ」が不足している事をたしなめられたためか、アルバム「Kulu Se Mama」には神秘性というか、「静寂と安らぎ」が加わってるように思えます。

表題曲「Kulu Se Mama」は、パーカッションとボーカルで参加するジュノ・ルイスの作品。

母に捧げた賛歌なんだそうですが、「アフリカ回帰」を目指した曲調で、ゆるめなパーカッションの音色とアフリカの現地語の歌がブレンドされた、「土の香り漂う」ような、穏やかなる曲です。

蛇足ですがこの曲、アート・ブレイキーがブルーノートに録音した、
「Art Blakey – Orgy in Rhythm (Blue Note)1957」、

「Art Blakey – Holiday for Skins (Blue Note)1958」、

「Art Blakey – The African Beat (Blue Note)1962」と続く、

アフリカ回帰的なドラムアンサンブルの作品群に、傾向が近い感じがします。

続く2曲目「Vigil」は、テナーサックスのコルトレーンと、ドラムスのエルヴィンによるデュオ。
9分半にも渡り、2人だけの丁々発止なやりとりが続きます。

3曲目「Welcome」は、穏やかなるバラッド風な演奏。これこそ「静寂と安らぎ」ですね。

1975年にマイケル・カスクーナ(Michael Coscuna)が編纂したコンピレーションアルバム「The Gentle Side Of John Coltrane」にも収録されてます。

John Coltrane – Kulu Se Mama (1965)
impulse! A-9106

01. Kulu Se Mama (Juno Se Mama) (Julian Lewis) 18:50
02. Vigil (John Coltrane) 9:51
03. Welcome (John Coltrane) 5:34

03. Welcome –
John Coltrane(ts) McCoy Tyner(p) Jimmy Garrison(b) Elvin Jones(ds)
June 10, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

02. Vigil –
John Coltrane(ss, ts) Elvin Jones(ds)
June 16, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ,

01. Kulu Se Mama (Juno Se Mama) –
John Coltrane(ts) Pharoah Sanders(ts) McCoy Tyner(p)
Jimmy Garrison(b) Donald Garrett(b, bass-cl) Frank Butler(ds) Elvin Jones(ds)
Juno Lewis (vo, per)
Western Recorders, Los Angeles, CA, October 14, 1965

<「Kulu Se Mama」録音の頃(抜粋)>

☆1964年12月9日(38歳)「A Love Supreme」1回目のセッション。

◎1965年6月10&16日(38歳)、「Kulu Se Mama」1回目のセッション。

◎1965年6月28日、「Ascension」レコーディング。

◎1965年10月01日(39歳)「Om」レコーディング。

☆1965年10月14日、「Kulu Se Mama」2回目のセッション。

◎1965年11月23日、「Meditations」レコーディング。

◎1966年7月8∼25日(39歳)日本ツアー

◎1967年2月15日(没年、40歳)遺作「Expression」1回目のセッション。

◎1967年7月17日(没年、40歳)肝臓癌で昇天(死去)。

「John Coltrane – Ascension (1965 Impulse!)」は果たして問題作なのか?

今まで怖くて聴かなかった、フリージャズやってた頃の(後期)コルトレーンを最近、まとめて聴いておりました。

各種文献・資料を漁り、世界的ジョン・コルトレーン研究家・藤岡靖洋さんの書くライナーノートに目を通し、時代背景とコルトレーンの私生活を理解する事で、ようやく、過激な演奏に突っ走ったのか理解出来るようになってきました。

「怒る」初期から、「叫ぶ」晩年へ。

「叫ぶ」ような、強烈なるビブラートを掛けた晩年の演奏は、「アフリカ回帰」とか、「Love and Peace」などというお題目の影で、迫り来る死への恐怖と、癌に蝕まれた体の痛みをこらえながら演奏してた、と仮定すると、妙に合点が行く気がします。

さて、母方の祖父が牧師という環境に育ったジョン・コルトレーン(John Coltrane)は、1960年代後半に、神に捧げた組曲「至上の愛(A Love Supreme)」という大傑作を録音します。

その半年後、以前から興味を示してた「フリージャズ」に手を染めます。

この時代は、アフリカ系アメリカ人達が、奴隷時代から続く人種差別に対し、猛然と抗議の声を上げ始めた時代でもありますね。

John Coltrane - Ascension (1965)

ジョン・コルトレーンがフリージャズを演奏した最初のアルバムだと認識されるのが、1965年6月に録音した「Ascension(邦題:神の園)」です。

そのまま和訳すると「上昇、キリストの昇天」という意味だそうで、「至上の愛」に続き、キリスト教をイメージさせるタイトルですね。

発表当時、日本のジャズ誌では「世紀の問題作」として、大論争が巻き起こった模様。
ジャーナリズム的には、論争巻き起こすほどの、おいしいネタだったんでしょうね。

フリージャズの創始者・オーネット・コールマン(Ornette Coleman)の「Free Jazz (1961) Atlantic」に影響されちゃって、大編成でフリー風味な即興演奏を試してみた作品、とでも言っておきますね。

しかしこのアルバム、前述の通り「世紀の問題作」とかジャズ雑誌等に書かれているので長年、避けて(笑)いたのですが、聴いてみると全然、許容範囲な演奏だったりします。

壮絶なる「Live In Japan」とかの方が、よっぽど問題作だわー(笑)。

要するに、「フリージャズ」としては、とーっても聴きやすい作品だと思います。

という事で「Ascension」はどんな作品かと問われれば、「至上の愛」で頂点を極めた「モード」演奏から、新たなる「フリー」な演奏に移行する途中の模索、というか「習作」という位置付けではないかと。

編成は「黄金のカルテット」に、トランペット奏者を2人、サックス奏者を4人、ベーシストを1人を加えたもの。

さて、今回聴いているのは、演奏時間から推定するに「Ascension [Edition II]」だと思われます。

中身はというと、全員がアンサンブルというか集団即興を行うパートに続き、約2分ほど「ドラム」対「ソロ奏者」の果し合いが続く、という印象。しかも延々、約40分も(笑)。

熱狂的なホーン奏者7人のソロが終ると、ピアノ、ベースのソロが続きます。
ドラムのエルヴィンはもちろん、最初から最後までシンバル叩きっぱなし・・・。

先発はもちろん、リーダーのジョン・コルトレーン(John Coltrane)。
ソロ吹き出したものの、試行錯誤の途中で集団即興の波が押し寄せて時間切れ(笑)。

2番手はトランペットのディウェイ・ジョンソン(Dewey Johnson)は、マイルドなウディ・ショウ、といった感じのソロフレーズを繰り出します。

3番手のテナーサックスのファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)はと言うと、恒例(笑)の叫びのような雄叫びを上げ続け・・・。

アンサンブルの混沌の中から颯爽と登場するトランペットのフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)。4番手として切れ味鋭いソロで応酬・・・オーネットの「Free Jazz」に参加して慣れてるのかな。

5番手のアルトサックスのジョン・チカイ(John Tchicai)は、ジャッキー・マクリーンにも似たフレーズをかなりマイルドなトーンで披露。

20分経過、演奏も半ばに差し掛かり、ドラムの合図で喧騒が幻想に代わる中、6番目のソロとしてテナーサックスのアーチー・シェップ(Archie Shepp)が登場。
中音域をメインに、強烈なビブラートでソロ吹き散らかしていきます。

管楽器奏者最後に登場するのは、アルトサックスのマリオン・ブラウン(Marion Brown)。
比較的明るく明快なフレーズで、オーネット・コールマン的というか、マクリーン風の「滝から崩落する水しぶき」とでも形容したくなる下降フレーズを連発します。

ホーン奏者の喧騒的演奏が全部終ると、ピアノのマッコイ・タイナー(McCoy Tyner)が登場。
乱れず崩れず、いつものペンタトニック(?)フレーズでベースに引継ぎます。

ベースのアート・デイヴィス(Art Davis)とジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison)は、それぞれ弓弾きと指弾きを使い分けた短いソロを聴かせてくれます。

最後のアンサンブルは、混沌としてテーマフレーズがどれなのかすら判別不能(笑)。

このセッションの時、エルヴィン・ジョーンズが、演奏後にすねて「(もう)やってらんねーよ!」と叫び、スタジオを出て行ったという逸話があるそうです。

ホーン陣と丁々発止散々のやりとりを40分延々繰り広げれば、嫌になるわなあ・・・。

野獣エルヴィンのパワフルなドラムに手を焼いたコルトレーンが、「Free Jazz」を参考にホーン奏者の加勢を呼んで、集団でいたぶってみた・・・、という裏話が成立しそうな気がしたり・・・。

ちなみにパワフルで混沌としたこの「Ascension」録音した翌月7月、フランスで録音されたライブ音源には、タイトルを「Blue Valse (Blue Waltz)」とした、「Ascension」のカルテットバージョンが登場します。

演奏はというと、すっきりしたテーマ演奏後、「Eb minor」一発でアドリブやってるらしいです。

John Coltrane – Ascension (1965) Impulse! Records A-95

Freddie Hubbard (tp) Dewey Johnson (tp) Marion Brown (as) John Tchicai (as)
John Coltrane (ts) Pharoah Sanders (ts) Archie Shepp (ts)
McCoy Tyner (p) Art Davis (b) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (ds)

June 28, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

01. Ascension [Edition II] (John Coltrane) 40:27

参考までに「Ascension Edition I」の演奏はこちら。

<「Ascension」録音までの経過(抜粋)>

1964年02月、ハーフ・ノートにて、カルテットにオーネット・コールマンがトランペットで客演。
1964年06月、エリック・ドルフィー、糖尿病の悪化と心臓発作によりベルリンで客死。
1964年08月、アリスとの第1子誕生。

1964年12月、黄金のカルテットによるベストセラー「至上の愛(A Love Supreme)」録音。

1965年02月、「Chim Chim Cheree」を収録した「The John Coltrane Quartet Plays」録音。

1965年06月、「Kulu Se Mama」第1回目の録音(Vigil, Welcome)。

1965年06月、発表当時「世紀の問題作」と評された「Ascension」録音。

ジャズのCD(Blue Note)などをゆるゆるご紹介