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「Tadd Dameron – Anthropology (Vee Jay/Fun House)」ファッツ・ナバロの名演奏を楽しむ

Tadd Dameron – Anthropology Vee Jay / Fun House 20YB-7014 (1988)

Tadd Dameron - Anthropology (Vee Jay/Fun House)

 「ヴィー・ジェイ・レコード(Vee Jay)」なんだけど多分、日本企画(ファンハウス)の発掘盤。

 ビバップ時代から作編曲者として活躍する「タッド・ダメロン(Tadd Dameron)」バンドの、ロイヤル・ルーストでのライブ録音。

 元々AMラジオでオンエアされたエアチェック音源らしく、ラジオ・アナウンサーの声が所々入ります。

 リーダー格のタッド・ダメロンの他、早逝した天才トランペット「ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)」、白人テナーの名手「アレン・イーガー(Allen Eager)」、ヴィブラフォンの「ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)」など、バップ時代に活躍した素晴らしいメンバー達の演奏を堪能出来るアルバムです。

 今まで、CD化された同時期の録音「Fats Navarro ‎– Featured With The Tadd Dameron Band (Milestone Records)」だけを延々聴いていて、CD化されてないこのレコードはレコード棚に放置してたのですが、デジタル化してあらためてデータ確認してみると、録音日とか収録曲が違うらしい(汗)。

 いろいろと記録を調べると、タッド・ダメロンのバンドは、「ロイヤル・ルースト(Royal Roost)」というジャズクラブで長期に渡りレギュラーで演奏していたらしい上に、ラジオで生放送されていたみたいなので、エアチェックされたテープが、次々と発掘されても不思議ではないのかなー。

 また、「Fats Navarro Featured With Tadd Dameron’s Band-Royal Roost Sessions 1948 (Fresh Sound Records ‎FSR-CD 171)」というアルバムの他、何枚かCD化されてる音源があるようですが現在、入手困難なのかな?

 私の場合、もちろん「ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)」目当てで購入したのですが、10曲中最後の3曲にはファッツ・ナバロが参加してません(泣)。

 その3曲には、代打としてトロンボーンの「カイ・ウィンディング(Kai Winding)」が参加してます。

 なおファッツ・ナバロが参加した演奏曲目は、ブルーノート・レコードに残されたスタジオ録音でも堪能することが出来ます。

Tadd Dameron – Anthropology (1948)

Vee Jay / Fun House 20YB-7014 (1988)

Tadd Dameron - Anthropology (Vee Jay/Fun House)

side 1
 01. Good Bait (Dameron) 5:32
 02. The Squirrel (Dameron) 3:45
 03. Symphonette (Erickson) 4:09

 04. Tadd Walk (Dameron) 4:29
 05. Dameronia (Dameron) 5:10

side 2
 06. Anthropology (Parker, Gillespie, Bishop Jr) 4:49
 07. Our Delight (Dameron) 4:03

 08. The Chase (Dameron) 4:10
 09. Wa Hoo (Friend) 5:14
 10. Lady Be Good (Gershwin) 5:06

Fats Navarro (tp) Kai Winding (tb) Rudy Williams (as) Allen Eager (ts) Milt Jackson (vib)
Tadd Dameron (p) Curly Russell (b) Kenny Clarke (ds)

September 4, October 2, 9, 16, 30, 1948 at The Royal Roost, NYC.

 蛇足だが、独創的なジャケットイラストは、作者名「Hirosuke Ueno」と書かれているので、「上野宏介(ウエノ★アモーレ★ヒロスケ)」さんで、合っているのだろうか?あとで誰か詳しく調べなきゃ。


「Fats Navarro ‎– Featured With The Tadd Dameron Band [Milestone Records MCD 470412]」

「Pepper Adams – 10 To 4 At The 5 Spot (Riverside)」メトロノームの音が耳に残るラフなライブ録音

Pepper Adams – 10 To 4 At The 5 Spot Riverside RLP 12-265 / OJC-031

 自宅レコード・デジタル化作業のついでに、作業が完了したアルバムから順次、ご紹介しております。

Pepper Adams - 10 To 4 At The 5 Spot (Riverside)

 セロニアス・モンク、ケニー・バレル、エリック・ドルフィーなど、数々の有名ミュージシャンがライブ盤を録音している、ニューヨークのファイブ・スポット・カフェ(Five Spot Cafe)。


 バード、アダムスのコンビは、ブルーノート・レコード(Blue Note Records)を中心に、数多くの名演奏を残しておりますが、本アルバムは契約上の関係か「ペッパー・アダムス(Pepper Adams)」のリーダー名義になってます。

 ただ、実質的には「ドナルド・バード(Donald Byrd)」との双頭コンボですね。

 そして、「実況ライブ盤」という称号がこれほど相応しいレコードもないかと。まあ、ラフすぎるというか、臨場感溢れるライブ録音です(笑)。

 まず、何度聴いても印象に残るのは、演奏途中に聴こえてくる「メトロノームの音」。ベースソロなんかの途中にカッチ、カッチと聴こえてくると、やたら気になります(笑)。
 おまけにラスト前には、演奏間のチューニング風景までアルバムに入ってたり・・・。

 演奏を支えるリズム隊には、豪華かつ珍しいメンバーが揃ってますね。

 ピアノは、ファンキーな演奏で人気の「ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)」。

 ちなみにこの年、ベニー・ゴルソンにスカウトされ、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズに入団。半年後の1958年10月に、名盤「Moanin’」を録音することになります。

 ドラムスは、エルヴィン3兄弟の「エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)」。

 2年半後の1960年10月、アルバム「Coltrane Jazz (Atlantic LP 1354)」より「ジョン・コルトレーン(John Coltrane)」バンドの録音に参加してますね。

 以下、演奏曲をざっと紹介しておきます。

 1曲目は、サド・ジョーンズ作曲の「’Tis (theme) (Thad Jones) 」。エルヴィンの煽るような重厚なドラムにのり、アダムスのナイフとあだ名されるドスの効いたバリトンが炸裂します。

 2曲目は、バラッドの「You’re My Thrill (Clare-Gorney) 」。アダムスがワンホーンで、抑制の効いたソロを聴かせてくれます。

 3曲目は、ドナルド・バードが作曲した「The Long Two/Four (Donald Byrd) 」。エルヴィンが叩き出すマーチ風と4ビートが交差するリズムにのり、各メンバーの勢いあるファンキーなソロが続きます。

 なお、この曲は後日「Off To The Races 」と改題され、ブルーノートでスタジオ録音されてますね。

 以降、レコードだとB面になります。

 4曲目は、ファンキーな「Hastings Street Bounce (trad / arr by P. Adams) 」。ミディアム・テンポでファンキーなバッキングにのせ、軽快なソロが続きます。

 ラストは、ドナルド・バード作曲のバラッド「Yourna (Donald Byrd)」。

ゴリゴリ吹きまくるアダムスに続き、バラッドの名手・バードのリリカルなソロが続きます。ティモンズのブロック・コード中心のソロもいいですね。

Pepper Adams – 10 To 4 At The 5 Spot (1958)

Riverside RLP 12-265/RLP 1104 / OJC-031

Pepper Adams - 10 To 4 At The 5 Spot (Riverside)

side 1
01. ‘Tis (theme) (Thad Jones) 5:52
02. You’re My Thrill (Clare-Gorney) 5:04
03. The Long Two/Four (Donald Byrd) 10:41

side 2
04. Hastings Street Bounce (trad / arr by P. Adams) 11:20
05. Band Tuning 0:18
06. Yourna (Donald Byrd) 6:39

Donald Byrd (tp) Pepper Adams (bs)
Bobby Timmons (p) Doug Watkins (b) Elvin Jones (ds)

April 15, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.


 最後にブルーノートに残された、バード、アダムスのコンビによるアルバムを少し紹介しておきます。