追悼「ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)」

ブルーノート、プレステッジ、インパルスなど、ジャズ系有名レーベルに残された、数々の名盤の録音を担当した名技師、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)が、2016年8月25日、ニュージャージーの有名な自宅(兼スタジオ)にて亡くなった模様。

まあ、91歳なので、大往生というべきなのか。

THE RVG ALBUM

彼の足跡については「ジャズ批評編集部」が編纂し、2009年12月に株式会社松坂より発行された、「21世紀版ブルーノート・ブック(監修:行方均、マイケル・カスクーナ)」に、「発掘インタビュー:RVGは語る(インタビュアー:行方均)」として掲載されております。

では手元の資料を参考に、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)の軌跡をざっとご紹介。

まず、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)が、名エンジニアとして有名になったのは、ブルーノート・レコード(Blue note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が、1953年1月にサックス奏者ギル・メレ(Gil Melle)の録音を依頼したことから始まります。

ニュージャージー州ハッケンサック(Hackensack, NJ)にあった、自宅の居間を改造した録音スタジオで収録されたこの歴史的録音は、「Gil Melle Quintet/Sextet – New Faces-New Sounds (Blue Note BLP 5020)」に収録されておりますが、現在は入手困難かもしれません。

以降、ブルーノートの録音は、スタジオのみならずジャズクラブでのライブも担当していく事になります。

その直後、アルフレッド・ライオンが新たに依頼した録音エンジニアが居る、という噂を聞きつけた、プレスティッジ・レコード(Prestige Records)のボブ・ワインストック(Bob Weinstock)や、サヴォイ・レコード(Savoy Records)のオジー・カデーナらも、彼に録音を依頼するようになり、ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音技師としての仕事が、飛躍的に増える事となります。

トランペットなどの管楽器が生々しく、ドラムなどの打楽器がクリアに聞える独特の音作りは、ジャズファンの間では賛否両論ありますが、「ジャズらしい音」として認識されております。

さて1959年7月、ニュージャージー州イングルウッド・クリフス(Englewood Cliffs, NJ)に引越したルディは、新たな自宅兼スタジオで、録音エンジニアに専念する事となります。

スタジオの建物は、近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)の弟子、ディヴィッド・ヘンケンが手がけたそうで。

新旧スタジオの音の違いは、日本企画盤「Ike Quebec – From Hackensack To Englewood」で、聞き比べる事が出来る模様(当方、未入手)。

ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)が、ブルーノート・レコードを筆頭とするジャズレコード会社から重用された理由は、最終的にラッカー盤に刻まれる音をイメージしつつ、各工程で音を調整出来た、という事。に尽きます。

蛇足ながら、ジャズの演奏がレコードとなるまでに、いくつもの作業工程が必要です。

1)実際の演奏を「録音」した後、
2)音を(微)調整する「マスタリング」作業を経て、
3)レコードをブレスするスタンパーの元となるラッカー盤を刻む「カッティング」作業。

※にマルチ(多重)録音の場合は1)「録音」の後、各音源をまとめる「ミキシング」作業が必要。

彼に依頼すれば、依頼主がイメージする音を刻んだレコードマズターを作ってくれる・・・と。

インパルス!レコード (Impulse! Records) の超有名盤「至上の愛」も、ヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音でしたね。

レコードがCDに変わり、録音技術や機器もデジタル化が進行した1998年、日本の東芝EMIの企画でスタートした、ブルーノートレコードのCD24bitリマスター「RVG Editon」シリーズが大ヒット。

OJC(Original Jazz Classic)シリーズを傘下に擁するコンコード・ミュージック・グループなども追随し、数百枚に渡るRVGリマスターCDが発売されました。

彼の手による、ニューリマスターCDがもう発売されないのかと思うと、悲しい限りでありますが。

BN4140 Joe Henderson – Page One (Blue Note)

Joe Henderson – Page One Blue Note BST-84140

Page One / Joe Henderson Blue Note BST-84140

大好きなアルバム。
このCDを聴いていると、部屋の温度が2度位下がるような、爽やかな雰囲気に包まれます。

共演するケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、自作曲2曲(「BLUE BOSSA」、「LA MESHA」)に加え、ジャケット裏の解説まで担当する力の入れよう。

いろいろ書物(何かは失念!)を読んでいると、おもしろい経緯が分かりました。

最初は何と、ジョー・ヘンダーソンがケニーの演奏に惚れ込み、ケニーと同じように演奏したくて練習を重ね、遂には弟子入りを果たしたようなのです。

この辺りは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がチャーリー・パーカー(Charlie Parker)に惚れ込み、弟子入りした経緯と同じようですね。

つまり、ジョー・ヘンダーソンの電磁波パルスの様に予測不可能な演奏のルーツには、ケニーの演奏も混じっているという事になります。

ジョー自身のインタビュー(出所は失念)では、
「(共演時には、)息継ぎからアクセントのつけ方まで、そっくりに吹くことが出来た。」
というお話を読んだことがあります。

・・・なんだかこの辺りは、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)と、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の関係に似ていますね。

そうして様々なスタイルを身に付けたジョーさんの事を、『ジャズのあらゆるスタイルが含まれている』を評するサックス奏者がいる程です(誰かは失念)。

●Page One / Joe Henderson Blue Note BST-84140

01. Blue Bossa (Kenny Dorham) 8:00
02. La Mesha (Kenny Dorham) 9:06
03. Homestretch (Joe Henderson) 4:12

04. Recorda Me (Joe Henderson) 5:59
05. Jinrikisha (Joe Henderson) 7:22
06. Out of the Night (Joe Henderson) 7:23

Kenny Dorham (tp) Joe Henderson (ts)
McCoy Tyner (p) Butch Warren (b) Pete LaRoca (ds)

June 3, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

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BN4009 Bud Powell – The Scene Changes The Amazing Bud Powell, Vol. 5 (Blue Note)

The Scene Changes – The Amazing Bud Powell, Vol. 5 / Bud Powell Blue Note BST-84009

The Amazing Bud Powell, Vol. 5 - THE SCENE CHANGES - BUD POWELL Blue Note BST-84009

『ザ・シーン・チェンジズ』は、渡欧直前のバド・パウエルがブルーノートに残した最後のリーダー・アルバムです。

日本人が好みそうなマイナー・キーの曲中心で、全曲バド・パウエルのオリジナル。

ドラムのアート・テイラー(Art Taylor)はリーダーからステック禁止(笑)を言い渡され、ブラシだけでリズムを刻んでおります。
・・・理由は、前作『タイム・ウェイツ(1598)』においてドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズが叩き過ぎ(笑)て五月蝿かったため、と噂されております。

録音の背景はともかく(笑)、ほぼ同じモチーフを用いたと思われる曲が集められたこのアルバム、疲れた心を癒すには最適なアルバムの一枚ではないか?と思います。

The Amazing Bud Powell, Vol. 5 – THE SCENE CHANGES / BUD POWELL Blue Note BST-84009

01. Cleopatra’s Dream (Bud Powell) 4:22
02. Duid Deed (Bud Powell) 5:07
03. Down with It (Bud Powell) 4:00
04. Danceland (Bud Powell) 3:42
05. Borderick (Bud Powell) 1:59

06. Crossin’ the Channel (Bud Powell) 3:30
07. Comin’ Up (Bud Powell) 7:57
08. Gettin’ There (Bud Powell) 5:04
09. The Scene Changes (Bud Powell) 4:02

[CD Bonus Tracks]
10. Comin’ Up [alternate take] 5:26

Bud Powell (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
December 29, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
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BN1513 Thad Jones – Detroit-New York Junction (Blue Note)

Detroit-New York Junction / Thad Jones Blue Note BLP 1513

Detroit-New York Junction / Thad Jones Blue Note BLP 1513

サド・ジョーンズのブルーノート第1弾は、ケニー・バレル(g)、トミー・フラナガン(p)らデトロイト出身の豪華メンバーを揃えた録音。
当時在籍していたカウント・ベイシー楽団の大名盤『April In Paris / Count Basie and His Orchestra (Verve V6-8012)』は、同時期の録音です。

サド・ジョーンズ(Thad Jones)は、有名な「ジョーンズ3兄弟」の真ん中でありますね。
ちなみに、兄の方はハンク・ジョーンズ(p)、弟はエルヴィン・ジョーンズ(ds)です。

また作編曲もこなすサド・ジョーンズ、他のブルーノート録音で例えると・・・・。

ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)とタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の名コンビを一人で兼ねている感じですか。

とりあえずアルバム、『The Fabulous Fats Navarro(BN1531/1532)』を参照下さい。
シャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)が参加する1947年9月の録音を聴けば、納得いただけると思います。

本アルバム最後の収録曲「Zec」では、ファッツ・ナバロ直系のモダンなフレーズをお楽しみいただけます。

Detroit-New York Junction / Thad Jones Blue Note BLP1513

01. Blue Room (Thad Jones) 6:44
02. Tariff (Thad Jones) 5:33
03. Little Girl Blue (Rodgers-Hart) * 2:48

04. Scratch (Thad Jones) 10:26
05. Zec (Thad Jones) 8:46

Thad Jones (tp) Billy Mitchell (ts -omit *) Kenny Burrell (g)
Tommy Flanagan (p -omit *1) Oscar Pettiford (b) Shadow Wilson (ds -omit *)
March 13, 1956 at Audio-Video Studios, NYC.
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BN1598 Bud Powell – The Time Waits The Amazing Bud Powell, Volume 4 (Blue Note)

Bud Powell – The Time Waits The Amazing Bud Powell, Volume 4 (Blue Note BLP 1598)

Bud Powell - The Time Waits The Amazing Bud Powell, Volume 4 (Blue Note BLP 1598)

この「タイム・ウェイツ ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.4」、バド・パウエルのブルーノート作品中、比較的地味な印象がある作品です。

聴かない理由は、フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)の派手過ぎるドラム。
あのパワフルなドラムが五月蝿すぎ、パウエルの雰囲気で聴かせるピアノに集中出来ないからなあ。

パウエル自身もそう感じていたらしく、次作の大人気盤「The Scene Changes / The Amazing Bud Powell Vol.5」
の録音では、ドラマーのアート・テイラー(Art Taylor)に「シンバル禁止!」、「ブラシだけで演奏しろ!」と、言ったとか言わないとか・・・・。

●The Time Waits The Amazing Bud Powell, Volume 4 / Bud Powell Blue Note BLP 1598

01. Buster Rides Again (Bud Powell) 5:30
02. Sub City (Bud Powell) 4:32
03. Time Waits (Bud Powell) 5:06
04. Marmalade (Bud Powell) 4:28

05. Monopoly (Bud Powell) 4:47
06. John’s Abbey (Bud Powell) 5:36
07. Dry Soul (Bud Powell) 6:41
08. Sub City [alternate take] (Bud Powell) 2:36

[CD Bonus Tracks]
09. John’s Abbey [alternate take] (Bud Powell) 2:25

Bud Powell (p) Sam Jones (b) Philly Joe Jones (ds)
May 24, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
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