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「Fats Navarro, Charlie Parker – Anthropoplgy [Spotlite SPJ-108]」豪華メンバーのエアチェック盤

Fats Navarro, Charlie Parker – Anthropoplgy [Spotlite SPJ-108]

Fats Navarro, Charlie Parker - Anthropoplgy [Spotlite SPJ-108]

 「Barry Ulanov and His All-Star Metronome Jazzmen」と名付けされた、ラジオ放送用のバンドによる1947年11月のスタジオ生放送エアチェック盤。

 手持ちのレコードをデジタル化したものですが、このアルバム自体は、CD化されていないようですね。

 バンド名は何故かジャズ評論家「バリー・ウラノフ(Barry Ulanov)」名義ですが、演奏メンバーは超豪華。

 ビバップ創始者の一人「チャーリー・パーカー(Charlie Parker)」、早世の天才トランペット奏者「ファッツ・ナバロ (Fats Navarro)」に加え、ドラムが「バディ・リッチ(Buddy Rich)」、ヴォーカルが「サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)」という、オールスター・メンバーによる豪華すぎる演奏です。

 ピアノが盲目の白人で、後に独自のクール・スタイルを確立した「レニー・トリスターノ(Lennie Tristano)」だというのも興味深いですね。

 ビバップ時代の名曲を、メインソロイストが入れ替わる感じで演奏してます。ヴォーカルのサラ・ヴォーンは「Everything I Have is Yours」のみ登場。

 ビバップ創始者の一人、ディジー・ガレスピーが参加せず、ファッツ・ナバロがトランペットで参加しても、まあ遜色ないですね。

 ついでに、チャーリー・パーカー、ファッツ・ナバロが共演するアルバム(エアチェック盤)がもう1枚「One Night In Birdland (Columbia JG 34808)」として発売されているので、ご紹介しておきます。


 最後の3曲は「Tadd Dameron and His Orchestra」による、1948年ロイヤル・ルーストでの実況録音。

 ダメロンのバンドなのに、ファッツ・ナバロでなく、何故か「アレン・イーガー(Allen Eager)」と「ワーデル・グレイ(Wardell Gray)」 のテナーコンビが、フロントに参加していますね。

 これも、ラジオからのエアチェックだと思われます。

Fats Navarro, Charlie Parker – Anthropoplgy [Spotlite SPJ-108]

Fats Navarro, Charlie Parker - Anthropoplgy [Spotlite SPJ-108]

Barry Ulanov and His All-Star Metronome Jazzmen

side 1
 01. Announcement – Bruce Elliott 0:13
 02. 52nd Street Theme (T. Monk) 1:28
 03. Introduction – Elliott, Barry Ulanov 0:35
 04. Donna Lee (M. Davis) 2:23

 05. Introduction – Ulanov 0:19
 06. Everything I Have is Yours (B. Lane-H. Adamson) 2:43

 07. Introduction – Barry Ulanov 0:24
 08. Fats Flats [Hot House] (T. Dameron) 2:26

 09. Introduction – Ulanov 0:18
 10. Tea for Two (V. Youmans-I. Caesar) 2:22

 11. Introduction – Ulanov 0:23
 12. Don’t Blame Me (D. Fields-J. McHugh) 2:49

side 2
 13. Introduction – Ulanov 0:24
 14. Groovin’ High (D. Gillespie-F. Paparelli) 3:11

 15. Ko Ko (C. Parker) 5:40
 16. Anthropology (D. Gillespie-C. Parker) 0:37

Tadd Dameron and His Orchestra

 17. Now’s The Time (Charlie Parker) 3:38
 18. Lady Be Good (George / Ira Gershwin) 3:22
 19. Just You, Just Me (Jesse Greer / Raymond Klages) 4:13

Barry Ulanov and His All-Star Metronome Jazzmen

Charlie Parker (as) Fats Navarro (tp) John La Porta (cl) Allen Eager (ts)
Lennie Tristano (p) Billy Bauer (g) Tommy Potter (b) Buddy Rich (ds)
Sarah Vaughan (vo) Bruce Elliott (ann) Barry Ulanov (ann)

November 8, 1947 at WOR Mutual Studio, NYC. radio broadcast

Tadd Dameron and His Orchestra

Allen Eager (ts) Wardell Gray (ts)
Tadd Dameron (p) Curly Russell (b) Kenny Clarke (ds)

August – September, 1948 at Royal Roost, NYC. radio broadcast


「Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977」は、祭りの喧騒

フリージャズの指導的存在で「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」の提唱者、「オーネット・コールマン(Ornette Coleman)」。

Ornette Coleman - Dancing In Your Head (1977)

1976年に録音した「ダンシング・イン・ユア・ヘッド(Dancing In Your Head)」は、お祭り騒ぎ的な「Theme From A Symphony」の2バージョンと、1973年にモロッコで現地のミュージシャンの演奏に合わせ録音した「Midnight Sunrise」が収録されております。

さて、2つのバージョンが収録される「Theme From A Symphony」。

ファンク&ロックのビート、2ギター奏でるカラフルなサウンドをバックに、オーネットがスカっと気持ちよく吹きまくっております(最後まで)。

明るく異国情緒漂う音の羅列と、「祭りの喧騒」にも似たリズムが交じり合い、祝祭的な雰囲気を醸し出していきます。

この猥雑極まりない音楽はCDより、プチプチノイズ入りのアナログレコードで聴くべきだと思います。

しかし、テナーのようなぶっとい音でオーネット奏でるソロのポップさ加減は凄まじいの一言。

初期のナイフのように尖った演奏から想像出来ないほどの、変貌具合かなと。

最後に登場するのがモロッコで録音された「Midnight Sunrise」。

バグパイプのような響きと、和太鼓奏でる如き単調なリズムに乗せ、オーネットが即興演奏を繰り広げるもの。


Ornette Coleman – Dancing In Your Head (A&M/Horizon)1977
A&M/Horizon SP-722 / Universal Music UCCU-6118 [2011.07.20]

Ornette Coleman (as) Charles Ellerbee(g) Bern Nix (g) Rudy MacDaniel (b) Ronald Shannon Jackson (ds)
December, 1976 at Barclay Studios, Paris, France.

01. Theme From A Symphony (variation 1) 15:37

02. Theme From A Symphony (variation 2) 11:06

Robert Palmer (cl, wood-fl) Ornette Coleman (as, tp, electric violin)
The Master Musicians Of Jajouka (pipes, fl, three lutanists, violin, ds)
January, 1973 in Jajouka, Morocco.

03. Midnight Sunrise 4:36


この時代のオーネット・コールマンは、「フリー・ジャズ(Free Jazz)」と呼ばれる演奏スタイルに、理論武装を施すため、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」なる、未だ定義があいまいな「演奏理論」を口にするようになります。

で、「ハーモロディクス(Harmolodics)理論」てなんじゃい?という事で、いろいろと他サイトを調べてみましたが、霞を掴むが如く(笑)。

オーネットの下に集まって、自由奔放に音を出した結果生まれる「演奏」を「ハーモロディクス(Harmolodics)」と呼んでいるようです。

これはオーネットの「理論」というより、「ハーモロディクス現象」とか「ハーモロディクス効果」と呼んだほうが、しっくり行くのではないかと思いますが、如何なもんでしょ?