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モンク歓喜の演奏 – コンプリート・ラスト・ロンドン・レコーディングス – Thelonious Monk [Black Lion/Muzak] (2018)

1月25日にセロニアス・モンクのリーダー作として最後の録音となる「The London Collection」が、日本のインディーレーベル(?)・「MUZAK(ミューザック) 」さんから、発売されました。

コンプリート・ラスト・ロンドン・レコーディングス
※ジャケット写真をリンクすると、アマゾンさんで商品購入出来ます。

ジャケットと特典ポスターは、ジャズ喫茶「DUG」のオーナーで写真家の中平穂積氏の作品です。

「特典ポスターがある!」との情報を聞きつけ、私は『タワーレコード新潟店(イオンモール新潟南内)』で購入。

The London Collection - Thelonious Monk (2018)

何らかの手違いで、CDと共に到着したはずの「特典ポスター」の存在が、お店で不明となり、店舗で「有無」の確認をお願いして、再訪した際にようやくポスター付きで購入出来ました。

今回のアルバムは2枚組。

1枚目が「ソロ」、2枚目がアート・ブレイキー(ds)とアル・マッキボン(b)を従えたトリオによる演奏です。

なお2枚目の最後にボーナス・トラックとして、ソロで演奏された「Trinkle, Tinkle [take 1] 」が、追加収録されております。

録音したスタジオ設備の関係か、何時もゴツゴツした感じの印象があるモンクのピアノの響きが、物凄く綺麗に響き渡ります。

例えて書くなら『広い空間にピアノ1台だけ置いてある天国で、ピアノを弾いてるモンク』といった印象かな。

トリオによる演奏も同様で、いつも豪快なアード・ブレイキーのドラムが、かなり大人しく(繊細に)聴こえてしましいます。

ただ、ソロ、トリオとも、ピアノの響きに「モンクの歓喜(喜び)」を感じとることが出来ます。

音だけ聴いてる限り、かなり高揚(ハイになって)して演奏してる事が、音の響きから伺えますね。

いつもムッツリした感じした印象を受けるモンクを、ここまでウキウキさせた原因が何かは分かりませんが、モンク自作の「Trinkle, Tinkle(ブギウギ調の曲)」などを聴いていると、こちらの気持ちもウキウキしてきます。

演奏曲目には、モンク珠玉の自作曲が、ずらっと並びます。

初期に録音した楽曲が多い感じがするのは、ブルーノート(Blue Note Records)やプレステッジ(Prestige Records)などの初期録音で共演した、アート・ブレイキー(Art Blakey)が居たからでしょうねえ。

なお、何曲かのテイクで、「ピアノを擦るような音」が聴こえてきますが、これはモンクの「伸び過ぎた爪」が、鍵盤に触れた際に発生してる音だとか。
何曲か録音した後、同行したモンクの奥様(ネリーさん)が爪を切ってあげることで、対処したとのことです。

ブラック・ライオン・レーベルは、今まで日本のレコード店にてお目にかかる機会が少なく、このアルバム自体もこれまで、まったく私の視野に入っていませんでしたが、今回の再発は、本当に嬉しい「出合い」でした。

再発に尽力され、特典ポスターまで用意してくれた「MUZAK(ミューザック) 」さんに、感謝を。


コンプリート・ラスト・ロンドン・レコーディングス – セロニアス・モンク
The London Collection – Thelonious Monk (2018)
Black Lion/Muzak MZCB-1365/66 [2018.01.25]

Producer Alan Bates
Photography by Hozumi Nakadaira
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The London Collection [Disc 1]

01. Trinkle, Tinkle [take 3] 7:23
02. Crepuscule With Nellie [take 2] 2:15
03. Darn That Dream (De Lange, Van Heusen) 5:45
04. Little Rootie Tootie 4:04
05. Meet Me Tonight In Dreamland (Whitson, Friedman) 3:12
06. Nice Work If You Can Get It (G & I Gershwin) 5:10
07. My Melancholy Baby (Washington) 5:08
08. Jackie-Ing 3:26
09. Loverman (Ramirez) 7:12
10. Blue Sphere 2:24
11. Trinkle, Tinkle [take 2] 5:55
12. The Man I Love (G & I Gershwin) 5:12
13. Something In Blue 6:38
14. Introspection [take 1] 1:11
15. Chordially (Improvisation) 9:40

Thelonious Monk (p)
November 15, 1971 at Chappell Studios, London.

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The London Collection [Disc 2]

01. Evidence [take 2] 5:24
02. Misterioso 6:22
03. Crepuscule With Nellie [take 4] 2:20
04. I Mean You 7:43
05. Criss Cross 3:40
06. Ruby My Dear 6:04
07. Nutty [take 2] 4:43
08. Hackensack [take 2] 7:54
09. Crepuscule With Nellie [take 3] 2:19
10. Nutty [take 1] 4:13
11. Introspection [take 3] 3:05
12. Hackensack [take 1] 9:04
13. Evidence [take 1] 7:06

[bonus track]
14. Trinkle, Tinkle [take 1] 5:52

Thelonious Monk (p) Al McKibbon (b) Art Blakey (ds)
November 15, 1971 at Chappell Studios, London.


なお、この録音のきっかけとなった「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」という特別編成バンドは、1971年秋から演奏活動をスタートし、アメリカ、ヨーロッパ、日本と全世界を巡業していたようです。

Thelonious Monk, Dizzy Gillespie, Giants Of Jazz Copenhagen 1971

01. Round Midnight (Thelonious Monk)
02. Tour De Force (Dizzy Gillespie)
03. Lover Man (J. Davis-J. Sherman-R. Ramrez)
04. Tin Tin Deo (Gil Fuller-Chano Pozo)
05. Everything Happens To Me (Tom Adair-Matt Dennis)
06. A Night In Tunisia (Dizzy Gillespie)

Dizzy Gillespie(tp) Sonny Stitt(as) Kai Windin(tb)
Thelonious Monk(p) Al McKibbon(b) Art Blakey(ds)
Live at Tivoli Gardens,Copenhagen,Denmark,November 9,1971


では、今回のアルバムご紹介はここまで。

「Various – They All Played Bebop [CBS Sony](1982)」ビバップ・ピアニスト達の名演集

「Various – They All Played Bebop [CBS Sony](1982)」

Various - They All Played Bebop [CBS Sony](1982)

 バップ・スタイルの名ピアニスト達の演奏を1枚で堪能出来る、1977年11月に録音されたアルバムです。

 元々2枚組だったものを、日本で1972年の新規録音だけ1枚に編集し、発売されたものらしいですね。

 この時の録音は「I Remember Bebop」と「They All Played Bebop」に分散収録されてるみたいで、近年「I Remember Bebop-The Complete Recording Sessions」としてCD化されたようです。

I Remember Bebop: Complete Recording Sessions

 さて、フリー・ジャズの熱風が過ぎ去り、フュージョンの爽やかな風が吹きだす1970年代初頭、アメリカ以外の世界各国から、ハード・バップ・リバイバルの機運が高まります。

 その筆頭が、デンマークのジャズ・レーベル「SteepleChase」。

 1972年から、ヨーロッパに活動拠点を移し、細々と活動を続けるバップ時代の名手達と接触、次々と新録音を発売しはじめました。

 そんな流れに乗り、1977年にアメリカの大手レコード会社が企画したのがこのアルバム。

 ビバップ時代から活躍する名ピアニスト達を一同に集め、当時の名曲を演奏しております。

 時代に流されず生き残ったピアニスト達の、最後の輝きとも言える名演が、次々登場致します。

 中でもA面最初に登場する「アル・ヘイグ(Al Haig)」のビバップ名曲集と、B面最初の「デューク・ジョーダン (Duke Jordan)」の「タッド・ダメロン(Tadd Dameron)」作品集が、個人的に好きな演奏かなあ。


 今回ご紹介する「They All Played Bebop」収録曲は、次の通り。

●1977年11月02日録音
 「アル・ヘイグ (Al Haig)」トリオ:「Woody’n You (Gillespie) 」、「Con Alma (Gillespie)」、「A Night In Tunisia (Gillespie – Paparelli)」

 「ジミー・ロウルズ (Jimmy Rowles)」トリオ:「Darn That Dream (DeLange – Van Heusen)」


●1977年11月03日録音
 「バリー・ハリス (Barry Harris)」トリオ:「Light Blue (T. Monk)」

 「トミー・フラナガン (Tommy Flanagan)」デュオ:「So Sorry Please (B. Powell)」


●1977年11月04日録音
 「ジョン・ルイス (John Lewis)」ソロ:「Afternoon In Paris (J. Lewis)」


●1977年11月05日録音
 「アル・ヘイグ (Al Haig Solo)」ソロ:「I Waited For You (Gillespie – G. Fuller)」

 「デューク・ジョーダン (Duke Jordan)」ソロ:「If You Could See Me Now (T. Dameron)」、「Our Delight (T. Dameron)」

 「ウォルター・ビショップ (Walter Bishop Jr.)」トリオ:「Scrapple From The Apple (C. Parker)」

 「サデック・ハキム (Sadik Hakim)」トリオ:「Buzzy (C. Parker)」


Various – They All Played Bebop (1982)

CBS Sony 25AP-2781(1982)

Various - They All Played Bebop [CBS Sony](1982)

side 1
Al Haig Trio
 01. Woody’n You (Gillespie) 4:29
 02. Con Alma (Gillespie) 4:02
 03. A Night In Tunisia (Gillespie – Paparelli) 3:28

Al Haig Solo
 04. I Waited For You (Gillespie – G. Fuller) 4:19

Walter Bishop Jr. Trio
 05. Scrapple From The Apple (C. Parker) 3:14

Jimmy Rowles Trio
 06. Darn That Dream (DeLange – Van Heusen) 3:30

side 2
Duke Jordan Solo
 07. If You Could See Me Now (T. Dameron) 6:12
 08. Our Delight (T. Dameron) 5:25

John Lewis Solo
 09. Afternoon In Paris (J. Lewis) 2:16

Barry Harris Trio
 10. Light Blue (T. Monk) 2:31

Tommy Flanagan Duo
 11. So Sorry Please (B. Powell) 3:15

Sadik Hakim Trio
 12. Buzzy (C. Parker) 2:25

各セッションの詳細

◎November 2, 1977 in NYC.

 ☆Al Haig Trio – Al Haig (p) Jamil Nasser (b) James Wormworth (ds)
 ☆Jimmy Rowles Trio – Jimmy Rowles (p) Rufus Reid (b) Mickey Roker (ds)

◎November 3, 1977 in NYC.

 ☆Barry Harris Trio – Barry Harris (p) William Lee (b) Leroy Williams (ds)
 ☆Tommy Flanagan Duo – Tommy Flanagan (p) Keter Betts (b)

◎November 4, 1977 in NYC.

 ☆John Lewis Solo – John Lewis (p)

◎November 5, 1977 in NYC.

 ☆Al Haig Solo – Al Haig (p)
 ☆Duke Jordan Solo – Duke Jordan (p)
 ☆Walter Bishop Jr. Trio – Walter Bishop Jr. (p) Bob Cranshaw (b) Al Foster (ds)
 ☆Sadik Hakim Trio – Sadik Hakim (p) Errol Walters (b) Al Foster (ds)


最後に、このアルバムに参加してるメンバーの作品を、ご紹介しておきます。